無限の可能性を秘めている「味噌feat.酢」

味噌と酢

大昔から、人々の健康を支え、食生活を豊かにしてきた味噌と酢。まったく異なる風味の両者が合わさることで、この上ないおいしさを醸し出す。古くは万葉集にも登場する「酢味噌」だが、それ以外にも「味噌feat.酢」は、無限の可能性を秘めている!

味噌と酢

酢は、健康にも美容にも重宝された世界最古の調味料⁉

穀物や果実から酒をつくり、酢酸菌を加え、発酵させてつくられる酸性調味料の「酢」。起源は古く、紀元前5000年頃のバビロニアでの記録に残っていて、「世界最古の調味料」と称される。また、あの絶世の美女とされるクレオパトラは、毎日酢に真珠を溶かして飲んでいたそうだ。真珠はカルシウムでできているため、理にかなった食し方とされる。

フランスやイタリアなどのワイン産出国では「ワインビネガー」、イギリスやアメリカなどでは「モルトビネガー(麦芽酢)」、日本では、米を原料にする米酢や粕酢が主流だ。日本には、5世紀初頭に中国から伝わったが、一般に普及したのは江戸時代とされている。寿司、酢のもの、酢漬け、ソース、マヨネーズ、ドレッシングなどに幅広く利用され、近年では「飲む酢」なども、人気となっている。

「酢」の漢字を見てもわかる通り、酢は酢酸菌がアルコールを発酵させることによりつくられる。酢は、英語で「ビネガー」というが、酸っぱいワインを意味する「ビネグル(vinaigre)」に由来する。

味噌の緩衝能

「緩衝能」とは、本来のpHを保持する能力のこと。たとえば、水に酸・アルカリを添加するとpHが変化するが、味噌汁では変化が少ない。味噌の緩衝能には、味噌に含まれる有機酸、アミノ酸類、たんぱく質等が関与している。味噌汁に具材を入れてもpHの変動は少なく、「酢味噌」の場合は、酸味が和らぐ。

スゴイ!お酢パワー

味噌と同様、酢にもさまざまな健康効果があり、疲労回復、代謝促進、高血圧予防など健康や美容に役立つ効能が期待できると報告されている。また、カルシウムの吸収を助ける働きもある。さっぱりとした酸味は味覚や臭覚を刺激し、食欲を増進するほか、料理の味を引き立てる働きもある。そのほか、殺菌・防腐作用を利用した酢漬けや野菜のアク抜きなど、利用範囲は幅広い。

「味噌feat.酢」を楽しむべく、おすすめしたいのがコレ!

味噌と酢を混ぜるだけで簡単にできる「ミソビネガー」。基本は、味噌2:酢1~2。白味噌、淡色味噌、赤味噌を、好みや用途で使い分けよう!味噌によってかたさや風味が異なるので、分量は適宜調整してください。

ミソビネガーに、砂糖かみりん(少し煮る)を入れるだけで「酢と味噌」の代表格である「ぬた(酢味噌)」が完成。ねぎやこんにゃく、ウドなどお好みの食材でどうぞ。和えるのは直前がミソ!

奈良時代につくられた万葉集は日本最古の歌集ですが、この中に、味噌の前身である「醤」を取り上げた歌が2首あり、その一つが「醤酢に 蒜つきかてて 鯛願う 吾にな見せそ 水葱の羹」。当時、ノビルを酢味噌で和え、タイの刺身も味噌和えで食べていたことが読み取れる。

そのほか、ミソビネガーは味噌汁やドレッシング、炒め物など、アレンジ無限大。また、味噌にも酢にも、肉や魚をやわらかくする働きがあるため、ミソビネガーに漬けた肉や魚はふんわりジューシーに仕上がる。


参考:『発酵食品学』(発行/講談社、著編/小泉武夫)、『酢 至宝の調味料 2』(発行/アスペクト)、『酢の機能と科学』(発行/朝倉書店、編/酢酸菌研究会)、『みそ文化誌』(発行/全国味噌工業協同組合連合会)、『味噌と醤油 : 発酵と醸造 : 製造管理と分析』(発行/朝倉書店、著/東和男)、『すべてがわかる!「発酵食品」事典』(発行/世界文化社、監修/小泉武夫・金内誠・舘野真知子 )

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