食の欧米化が増加の原因? みそで大腸がん予防を

長さ1.5mにも及ぶ臓器・大腸では、小腸で吸収されなかった食べ物が入ってきて、そこから水分を吸収します。そして、栄養分と水分以外のカスが便として排出されるという仕組みですが、「大腸がん」とは、この水分吸収と排泄を司る臓器に発生するがんです。

大腸がんは、国内で増加傾向にあり、男性では胃がん、前立腺がんに次いで3番目、女性では乳がんに次いで2番目に多いがんです。 その最も大きな原因として考えられるのは、食生活の欧米化です。戦後、牛肉や豚肉、加工肉など、高脂肪分を多く摂るようになり、食物繊維の摂取量が少なくなったほか、飲酒、喫煙により発生率が高まったと考えられます。

実は、みそは、大腸がん予防も期待できるのです。私たちの実験では、みそに、「前がん病変(いわゆるがんの芽)を抑える力」と「がんの成長を抑える力」があることがわかりました。

ラットに発がん物質を与え、「食塩入りエサ」「普通エサ」「みそ入りエサ」の群に分けて与えたところ、下記グラフの通り「みそ入りエサ」は、有意に「前がん病変」の発生数が抑えられました。

※ラットに発がん物質を1週間に1度、3週間にわたり与え、「エサの違い」による経過を観察
Masaoka Y 他 Nutr Cancer 32:25-28, 1998.Nutr Cancer 37:78-81,2000.より作成

なお、発酵初期のみそに効果はなく、みその熟成過程でできる褐色色素「メラノイジン」単独にも効果があったことから、熟成することで有効成分が生成されたと考えられます。

さらに、「普通エサ」に比べて「みそ入りエサ(180日熟成)」を食べた群は、大腸がんの大きさも、半分程度に抑えることができました。

また、もやし、豆乳、大豆を与えても大腸がんの予防効果があったため、大腸がん予防に、みそや大豆は最適といえるでしょう。また、食物繊維の多い麦みそを食すのも、よいでしょう。

がん予防には禁煙、バランスのよい食事、適度な運動、適正な体形の維持が基本です。早期の大腸がんは症状が表れにくく、自覚症状が出た場合にはかなり進行していることも少なくありません。早期発見のために、「大腸がん検診」を受診しましょう。

1940年福岡県生まれ。熊本大学理学部卒、九州大学大学院博士課程理学研究科修了。理学博士、医学博士。広島大学原爆放射能医学研究所助手を経て、1996年教授に。欧米で放射線生物学の研究を重ね、2004年に退官後も客員教授として研究を続行。『味噌力』(かんき出版)、『味噌大全』(東京堂出版) 等、著書多数。全国各地で講演会を行うほか、テレビや雑誌等のメディア出演など、多方面で活躍中。