みそや大豆製品を上手に取り入れよう。みそは肝がん予防に期待大!

肝臓は腹部の右上にあり、成人で800〜1200gと人間の体内では最大の臓器です。肝臓は、食事から吸収した栄養分を取り込み体に必要な成分に変えることや、有害物質の解毒・排出などさまざまな働きをしています。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、炎症やがんがあっても初期には自覚症状がほとんどありませんので、定期検診やほかの病気の検査のときに、たまたま「肝がん」が発見されることも少なくありません。「肝がん」は、B・C型肝炎ウイルスほか、飲酒、喫煙、肥満、糖尿病などが主な要因とされています。

一般的に「肝がん」というと「肝細胞がん」のことを指します。肝臓の細胞ががん化して悪性腫瘍になったものが「肝細胞がん」で、同じ肝臓にできたがんでも、肝臓の中を通る胆管ががん化したものは「胆管細胞がん」と呼ばれます。また、肝臓以外でできたがんが肝臓に転移したものは「転移性肝がん」と呼ばれ、区別されています。

みそは、「肝がん」を抑制することが動物実験で確認されています。実験用マウスに、52週間発がん物質とともに「普通のエサ」「みそエサ」 を与え、肝腫瘍がどの程度できるかを調べた結果、「みそエサ」の群の肝腫瘍は、「普通のエサ」の群に比べ約半分の数でした(図1)。

また別の実験では、マウスに52週間放射線を浴びさせるのと同時に、「普通のエサ」「みそエサ」 を与えました。結果、「みそエサ」の群は、「普通のエサ」の群に比べ、肝腫瘍の発生率が大幅に抑えられたのです(図2)。以上の結果から、みそは、肝がん予防に極めて有効だといえるでしょう。

なお、海外の研究(動物実験)では、大豆・大豆のタンパク質抽出物にも、肝がんの抑制効果があることが報告されています。ただし、大豆に含まれるイソフラボン単体に抑制効果は見られず、女性は肝がんリスクが上がるという報告もあります。サプリメントで摂るよりは、みそやその他の大豆製品を食事に上手に取り入れるとよいでしょう。

1940年福岡県生まれ。熊本大学理学部卒、九州大学大学院博士課程理学研究科修了。理学博士、医学博士。広島大学原爆放射能医学研究所助手を経て、1996年教授に。欧米で放射線生物学の研究を重ね、2004年に退官後も客員教授として研究を続行。『味噌力』(かんき出版)、『味噌大全』(東京堂出版) 等、著書多数。全国各地で講演会を行うほか、テレビや雑誌等のメディア出演など、多方面で活躍中。