【連載】みそ博士のオドロキ味噌力「たかがみそ、されどみそ」

みそとの衝撃的な出会いは、約30年前に遡ります。「動物に起こることは人でも起こりうる」というスタンスで、これまでみそに関する動物実験を行い、「味噌力」を証明してきました。これからみその健康効果に関するコラムを書きますので、よろしくお願いします。

最初に、自己紹介をさせていただきます。

生まれは飯塚市(福岡県)で大学卒業後、大塚製薬に入社しましたが、さらに勉学に励むために退職し、九州大学大学院博士課程理学研究科を修了しました。その後、広島大学原爆放射能医学研究所の助手として奉職し、1985年助教授、1996年教授、2004年退官後に名誉教授となり、現在は客員教授として研究を続行しています。

現役時代には、アメリカのウイスコンシン大学や、イギリスのパタ-ソン癌研究所に留学し、放射線が小腸に及ぼす影響などを勉強してきました。イギリス留学から帰国すると、待ち構えていたように、広島大・故伊藤明弘教授から、「みその放射線防御作用の研究を手伝ってくれ」と頼まれたのです。

「みその放射線防御作用」が着目されたのは、長崎に原子爆弾が投下された際、爆心地より1.4kmにあった病院で被ばくした秋月辰一郎医師(享年89歳)が、「原爆症が出ない原因の一つは『わかめのみそ汁』である」と残したことに始まります。

私自身、当初は、「みそに効果はないだろう」と半信半疑でした。しかし、親分からの依頼を断れず、マウスにみそ餌を食べさせ実験を行いました。まず驚いたのは、マウスがみそ餌をたくさん食べることです。発がん物質を混ぜたものは警戒して食べませんので、体に良いものがわかるのでしょう。「餌の食べ具合」は、その物質が体に合うのかどうかの判定材料となります。

実験の結果は驚くべきもので、みその放射線防御作用を実証することができました。その後、専門である胃がんや大腸がんでも実験を行い、いずれもみそにがんの抑制効果があることを見出しました。

寒い季節に温かいみそ汁を飲むと、気持ちが和みます。みそは日本人の体質に合い、おいしいものであったから、これだけ長い間親しまれてきたのでしょう。戦国時代に活躍した武将をはじめとし、長寿で知られるきんさん、ぎんさんも、みそ汁が大好きでした。

「たかがみそ、されどみそ」、次の時代にみその良さが受け継がれていくことを、切に希望します。

1940年福岡県生まれ。熊本大学理学部卒、九州大学大学院博士課程理学研究科修了。理学博士、医学博士。広島大学原爆放射能医学研究所助手を経て、1996年教授に。欧米で放射線生物学の研究を重ね、2004年に退官後も客員教授として研究を続行。『味噌力』(かんき出版)、『味噌大全』(東京堂出版) 等、著書多数。全国各地で講演会を行うほか、テレビや雑誌等のメディア出演など、多方面で活躍中。