金山寺味噌用の大豆の皮で「大豆てづくり石鹸」丸新本家・湯浅醤油

和歌山・湯浅は、金山寺味噌と醤油の発祥の地として知られています。その地で150年以上の歴史をつむぐ丸新本家・湯浅醤油が、人気商品の「大豆てづくり石鹸」をリニューアルしました。素材と伝統にこだわってきた同社は、30年以上前から環境への取り組みを続けています。

30年来の環境配慮から生まれたこだわりの石鹸

最初に大豆石鹸を作ったのは約30年前のことです。金山寺味噌を仕込む際に出る煎り大豆の皮を、近隣の農家に肥料として提供していたことがきっかけでした。

ご縁から香料・保存料不使用の自然派石鹸づくりが始まり、当時は全日空の機内誌で紹介され、東急ハンズやLOFTでも販売。まだSDGsという言葉すらなかった時代から、素材を無駄にしない取り組みを行ってきたことは、同社の“ものづくりの姿勢そのもの”を象徴しています。

熟練職人がつくる丁寧なものづくり

今回のリニューアルでは製法そのものを見直し、従来のホットプロセス(油を加熱して大豆の皮と苛性ソーダを加える伝統的製法)から、熱を加えず時間をかけて熟成させるコールドプロセス製法へ移行しました。

1か月以上の熟成期間を必要とするこの製法は、熱で壊れやすい有用成分を残せるのが特徴です。泡立ちが細やかで、洗い流しの泡切れもよく、肌の弱い方やアトピーで悩む方にも安心して使ってほしいという想いが込められています。

金山寺味噌のこだわり~湯浅なす復活ストーリー

丸新本家が石鹸と並んで大切にしているのが、金山寺味噌の原点を守ることです。大豆、はだか麦、野菜、種子島のきび砂糖、北海道の甜菜糖、五島灘の低温結晶塩、そしてサトウキビの水あめと、基礎原料に徹底してこだわっています。人気No.1は具だくさん金山寺味噌です。

なかでも特筆すべきは、絶滅寸前だった在来種「湯浅なす」の復活です。硬くて大きく、漬け物に向いているこの丸い茄子は、金山寺味噌との相性が抜群。

金山寺味噌発祥の地として、江戸時代から作られてきた「湯浅なす」を何としても守らねばと、2019年に復活プロジェクトをスタート。商工会や地元の農家の協力も得て、着実に生産者が増えていきました。その後は農家の高齢化が進み、現在5~6軒の農家が「湯浅なす」の栽培を続けて安定した供給をしてくれています。

フランス・ボルドーでの挑戦「世界一の醤油をつくりたい」

取締役社長の新古敏朗さんが綴るアメブロ「世界一の醤油をつくりたい」では、湯浅の伝統を現代につなぐ挑戦が語られています。なかでもフランス・ボルドーのワイナリーとのパートナーシップは象徴的です。現地に職人が入り、ワイン樽と同じ圧搾技術を応用しながら、麹づくりの要である技術は日本から持ち込む。こうして誕生した醤油は、JAS(日本農林規格)でも最高等級と高く評価されています。

「湯浅は金山寺味噌・醤油のヘソ、発祥の地です。本物志向の原点として、妥協せずに本当においしいものを届けていきたい」と新古さん。

「大豆手づくり石鹸」は、丸新本家・湯浅醤油店頭とECサイトで購入できます。

文/秋山昭代

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