明治20年より伝統的な製法を受け継ぐ「ヤマニ味噌」。製造から営業、広報までマルチに担当する専務取締役の藤川茂さんは「手はかかっても、うちにしか出せない味を大切にしたい」と語る。
(聞き手/藤本智子)
「ヤマニ味噌」について教えてください。
創業以来、およそ120年以上にわたり、昔ながらの伝統製法、木桶仕込みでみそを製造しています。佐倉がある下総の地は、江戸幕府の繁栄とともに、豊富な米と大豆、塩に恵まれたことから、みその名産地になりました。城下町として栄えた佐倉には、今でも「味噌部屋」 (上記写真)という地名が残っています。これは、武士たちが、みそをいかに大切にしていたかを物語っています。かつて、佐倉にはみそ屋が何社もありましたが、現在は弊社のみとなっております。
みそづくりのこだわりは?
基本的に、創業当時と製法も味も、ほぼ変わりません。厳選した素材選びに加え、特徴的なのは大豆を「半煮半蒸製法」で処理すること。最高の状態で熟成させるため、大豆の雑味を無くし色味をきれいに仕上げる「煮る」と、大豆のうま味を凝縮させる「蒸す」の両工程を絶妙のタイミングで行います。
そして、みそ仕込みの要となる「麹」は、生き物がゆえ、気温や麹の育ち具合により、大きく出来上がりに差が出ます。そのときの状態により温度や環境などを調整しながら、麹にとって最適な環境を維持することを心がけていますが、その感覚を覚えるのに10年かかりました。こうして手をかけることが、機械にはできない部分だと思います。
独自の発酵菌とは?
何代にもわたって使い続けられた木桶には、弊社独自の酵母菌や乳酸菌が多く棲みついています。また、創業当時から使用している蔵の天井には、大きな木が設置されています。建築の際、木にいる酵母菌を蔵に棲ませるために設置したと聞いています。
安定した風味を出すためには、仕込んだみそに培養した酵母を入れて発酵させることが一般的ですが、弊社では、完成したみそを「種菌」として使用する「種みそ仕込み」を採用。手間はかかりますが、こうすることでヤマニ独自の味が受け継がれます。
おすすめの「味噌活」を教えてください。
白みそと赤みそは、色も味も全く変わりますので、お好みや用途でうまく使い分けていただければと思います。直売所では、みそをお湯に溶いた「みそ湯」で味見ができます。白みそは、すっきりとした上品な味わいで、根菜類や肉、魚など、甘みやうま味のある具材がおすすめです。豚汁やアラ汁なども絶品! 私も昔から豚汁が大好物です。
赤みそは、じっくり熟成しているため、うま味が強く、芳醇で贅沢な味わいを楽しめます。豆腐やわかめ、なめこなど、みその味を生かすシンプルな具材がおすすめです。みそは、みそ汁だけでなく、調味料としても万能選手。炒め物や田楽など、さまざま楽しめます。特におすすめは、ごまを擂り、みそ、酢、油と和えたドレッシング。擂りたてのごまとみその香りがよく、野菜がモリモリ食べられます。
赤みそは、じっくり熟成しているため、うま味が強く、芳醇で贅沢な味わいを楽しめます。豆腐やわかめ、なめこなど、みその味を生かすシンプルな具材がおすすめです。みそは、みそ汁だけでなく、調味料としても万能選手。炒め物や田楽など、さまざま楽しめます。特におすすめは、ごまを擂り、みそ、酢、油と和えたドレッシング。擂りたてのごまとみその香りがよく、野菜がモリモリ食べられます。
二段仕込み(追い麹)製法の「胚芽米入りみそ」とは?
原料の一部に「胚芽米」を使用した、芳醇な香りとまろやかな甘みが特徴のみそです(塩分10.3%、すべて国産原料)。胚芽米は甘みがあり、普通に食べてもおいしいお米。白米と比べて栄養価がとても高く、ビタミンEやビタミンB1が豊富。おいしさの最大の秘訣は、一度熟成させたみそに「麹」を追加して再熟成させる「二段仕込み(追い麹)製法」。麹のフレッシュ感、フルーティーな風味が加わります。「胚芽米入りみそ」は、千葉県優良県産品推奨商品にもなっています。
夢を聞かせてください。
家庭のみそ汁は、親から子、孫へと、受け継がれるもの。地元の人々に、長く愛されるみそをこれからも大切に守っていきたいです。もともとIT関係の仕事をしていたので、その経験も生かしながら、魅力的な発信をしていくとともに、「ご当地の味」として全国の人々に召し上がっていただきたいです。そのために、今後、さらに地元の農家さんとも連携しながら、顔の見える商品づくりをしていきたいと思います。
【ヤマニ味噌】
千葉県佐倉市並木町33
TEL/043-485-4111