ナカマ工房・名嘉眞みどりさん「沖縄からみその魅力を発信!ンースの力」

沖縄県島尻郡八重瀬町で「玄米みそ」を製造している、栄養士の名嘉眞みどりさん。「ンース」とは、この地方独特の「みそ」の呼び名。2男3女の子育てがひと段落したところで一念発起。「ナカマ工房」を立ち上げ、みその製造・販売を開始した。一方で、勢力的に取り組む、みその普及活動が、テレビや新聞で紹介されるなどして、活動の幅を広げています。
(聞き手/藤本智子)

名嘉眞みどり●プロフィール
1954年沖縄県出身。高校卒業後、神戸の短大で栄養士の資格を取得。旧具志頭村の保育園で栄養士として勤務後、結婚、出産を期に専業主婦に。2012年にナカマ工房を開業。

ナカマ工房を立ち上げたきっかけは?

約30年前に「玄米みそ」のつくり方を教わり、家でつくり始めたのが、そもそものきっかけです。家族のために健康によいものをと毎年仕込んでいましたが、「おいしいから商品化してほしい」という声をいただくようになり、子育てがひと段落した58歳のとき、夫婦で「ナカマ工房」を立ち上げ、みその製造・販売を開始しました。販売にあたっては、質の向上を目指し、全国各地からみそを取り寄せて研究、発酵についても、勉強会に積極的に参加しました。

普段のお仕事を教えてください。

みその製造とイベント出展を中心に、栄養士の経験を活かし、保育園でみその食育講座を行うこともあります。講座には、なるべく親御さんにも参加していただき、みそがいかに体にいいか、使い方のコツなどをお伝えしています。そのほか、行員食堂の調理場の方への衛生管理、調味料(塩・みそ)の使い方などを伝えることも。最近はメディアに取り上げられることも増え、講話の依頼が増えています。今後もできるだけ要望に応えていきたいと思います。

ナカマ工房の「玄米みそ」とは?

自慢の「玄米みそ」は、玄米(宮城県/ひとめぼれ)、大豆(北海道/とよまさり)、塩(沖縄県/青い海)を使用して仕込みます。玄米をしっかり水に浸け、発芽を確認、生命力を感じながら麹をつくります。大量生産はできませんが、愛情を込めて丁寧に仕込むことを心がけています。また製造過程の特徴としては、低温で熟成管理をしていること。ゆっくりじっくり熟成させることで、玄米の甘味とうま味がほどよく引き出され、深い味わいに仕上がります。塩分は7.4%と甘口。しっかり熟成している分、だしが少なくてもおいしくいただけます。「昔ながらの懐かしい味」「やみつきになる」など、お客様からはうれしい反響をいただいています。ディップやおかずみそにもぴったりです。

玄米みそ

みその思い出といえば?

みその文化が根付いている沖縄で、みそに親しみながら育ちました。定番のみそ汁は、子どもの頃から島豆腐とわかめのみそ汁です。風邪のひき始めや体調がすぐれないときには、お椀にたっぷりの鰹節とみそを入れ、お湯を注いでいただく「かちゅー湯」を飲みます。今は朝食メニューとしても常食に。「かちゅー湯」で一日をスタートさせることが、元気の秘訣です。

おすすめの沖縄みそ料理は?

なんといっても沖縄の人々の常備食、「アンダンスー(油みそ)」は欠かせません。ゆでた豚バラ肉を1cm程度に切り、鍋で炒めます。肉から脂が出てきたら、砂糖、みそを入れて焦がさないようによく練り上げて完成。おにぎりに最高に合うおかずみそ。また、「みそ汁定食」は、どんぶりにたっぷりの野菜、島豆腐、豚肉等が入った具だくさんのみそ汁で、昔から長寿の源といわれています。私の大好物は、生姜の千切りと、トマト入りの「魚汁(アラ汁)」。新鮮な魚のアラをさっと湯通しし、鍋に水を入れて煮込み、最後にみそとわけぎを加えます。トマトと生姜の相性がよく、魚から出るダシもとてもおいしくて、おすすめです。

夢を聞かせてください。

みそは先人の知恵であり、日本人の食の原点。命の源です。沖縄では昔から「ミース(みそ)」と「マース(塩)」をとても大切にしてきましたが、いまはみそ離れが進んでいます。特に子どもたちに日本食、みそのよさを伝えていきたいし、忙しい現代人の生活だからこそ、みそ汁だけでも食べてほしい。気軽に親しんでもらうために、スイーツとのコラボもやっていきたいと思っています。

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