藤原啓司さんは、1986年生まれの32歳。昨年秋、鳥取県にみそを製造販売する「藤原みそこうじ店」を開業した。大学時代に民俗学を勉強していたこともあり、当時から、人々の生活に根付いた農業や発酵文化に関心があったという。
大学卒業後は、農業に携わったり、京都の老舗みそメーカーでみそづくりの修業を重ねたりしていたが、自分の思うままのみそづくりをしたいと考え、一念発起で起業。豊かな自然ときれいな水に恵まれた、鳥取県若桜町を新しい挑戦の場として選び、昨秋より製造を始めた。寒暖差もあり、みその熟成には最適だそう。原料は、地元産の無農薬の米と大豆を中心に、塩はミネラル豊富な沖縄の海水塩を使用。氷ノ山系の良質な天然水で仕込み、天然醸造でじっくりと時間をかけてつくる。できたみそは、甘味の中にうま味も感じられ、香り高いフルーティーな味わいだ。
「多くの方に支えられ、ようやくスタートラインに立てました。何気ないいつものみそ汁を、特別な一杯にすることが目標。今はつくれる量に限界がありますが、もっとよい麹、もっとよいみそを追求していきたい」と藤原さん。
ゆくゆくは原料調達まで自社で行いたいとの思いから、無農薬で大豆栽培にも取り組んでいる。多くのみそメーカーが廃業していく中、新たにみそメーカーを立ち上げる若者が出てきたということで、業界内外で注目が集まっている。
【藤原みそこうじ店】
鳥取県八頭郡若桜町若桜799-2
TEL/0858-71-0485