産学連携で共同開発した「名古屋コーチン味噌煮(宇宙食)」

画像提供:JAXA/NASA

「名古屋コーチン味噌煮(宇宙食)」は、株式会社サガミホールディングスが相模女子大学と石田缶詰株式会社と共同研究開発したレトルトパウチの宇宙食です。宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)の厳しい安全・品質基準による審査を経て、“宇宙日本食”としての認証を2021年に取得し、国際宇宙ステーションに長期滞在した星出宇宙飛行士用としてISSに初搭載されました。

宇宙でも温めずに食べられる「名古屋コーチン味噌煮(宇宙食)」

JAXA/NASA

相模女子大学栄養学科の提案により、栄養バランスを考えて様々な食材が使われています。また東海地域の食材を一部に使うことがコンセプトに盛り込まれていたことから、地元名古屋の八丁味噌と名古屋コーチンを使用。

大根、にんじん、ごぼうなどの歯ごたえのある根菜類を入れて食感や噛み応えを残し、宇宙空間でのストレス軽減を目指したそうです。宇宙空間では熱源が限られていて高温にするのが大変なので、常温でも美味しく食べることができるように工夫を凝らしてあります。

宇宙食レベルを目指して

NASA

一番苦労したのは、塩分や糖度、粘度を入れて調整するところ。味噌は高温で加熱殺菌処理する際に焦げやすいので、味噌のうま味を引き出すためにちょうど良い加減を探るのが大変だったそうです。

一方、防災食やレトルト食を製造している石田缶詰では、宇宙食開発の認証を目指して一段と高い衛生レベルの維持管理にも取り組み、2020年にISO22000を取得しました。

宇宙日本食だけでなく防災食にも

JAXA

「『名古屋コーチン味噌煮(宇宙食)』は、宇宙日本食認証が最終地点ではなく、JAXA基準をクリアした長期保存・防災食としてCSR活動に用いることが最終的な目的です」とサガミマネジメントサポートの榑林功真さん。

今回JAXAから求められた“温めなくてもそのままでおいしいおかず”のコンセプトは、まさに非常時の防災食としても求められる大きなポイント。現在の宇宙食は1.5年の常温保存試験をクリアしていますが、今後は最低でも3年から5年を目指して開発中です。

「名古屋コーチン味噌煮(宇宙食)」の市販品は、和食麺処サガミ、サガミ楽天ショップ、サガミAmazonショップの他、名古屋市科学館、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館などのショップで購入できます。

文/秋山昭代

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