群馬県は年間を通して晴れの日が多く水はけのよい土壌のため、古くから全国有数の小麦の産地として栄えてきた。そのため粉食料理を常食する文化が根付いており、「おっきりこみ」もその一つ。旬の野菜やきのこなどをみそか醤油で煮込むのが一般的。塩を入れずに打った幅広の生麺をそのまま煮込むため、打ち粉が溶け出してとろみが出るのが特徴だ。これ一杯で食事が完結する優れものの上、おいしさと手軽さから、古くから地元民に愛されてきた。
おっきりこみが一般家庭に広まったのは、石臼が庶民に広まった江戸時代中期以降と考えられている。その名前は、こねた生地をへらの上から直接鍋の中へと「切り込む」調理法に由来する。農家の主婦は畑に家事と朝から晩まで大忙し。家族に少しでも早くおいしい食事を、と考えてつくっていたのだろう。群馬では、「風呂の沸かし直し」を「たてっかえし」と呼ぶそうで、夕飯のおっきりこみの残りを翌朝温め直し、ごはんにかけて食べることを「おっきりこみのたてっかえし(たてっけえし)」と呼ぶそうだ。
Okkirikomi, a local specialty of Gunma, Japan’s leading producer of wheat, is wide flat udon noodles stewed with plenty of vegetables in a miso or soy sauce-base soup.