夕方になると、市内に点在する「やきとり」と書かれた赤ちょうちんに明かりが燈り始める。東松山のやきとりは、北海道室蘭市、愛媛県今治市のやきとりと並び、「日本三大やきとり」として知られている。
「やきとり」といっても、一般的な「鶏肉」のやきとりではなく、一風変わった「豚のカシラ肉」を使用。炭火で一本一本丹念に焼き上げ、白みそをベースに、唐辛子やニンニク、ごま油、みりん、果物など10 種類以上のスパイスをブレンドした、ピリっと辛いみそだれをつけて食べるのがお決まり。噛みごたえのあるジューシーな肉は一度食べたら病みつき必須。
戦後間もなく、韓国出身の大松屋(やきとり屋)初代の店主が、それまであまり利用されていなかった豚のカシラ肉をなんとか活用できないかと考え、唐辛子入りのみそだれと焼いたカシラ肉を合わせたものをつくったのがはじまりとされている。
現在は、東武東上線、東松山駅を中心に、約50 軒のお店で食べることができ、みそだれは、各店独自のこだわりの味を楽しめる。東松山焼鳥組合で、新鮮な豚のカシラ肉を共同購入しているので、安価で値段が統一されているのもうれしい。
昭和30 年代に誕生して以来、半世紀にわたり市民に愛され続けてきた味。子どもから大人まで大人気だが、特にお酒の肴には最高。ビールがぐびぐび進むので要注意。