JR 鎌倉駅から徒歩10 分。閑静な高級住宅街の一画に、今年2 月「味噌屋 鎌倉 Inoue」がオープン。鎌倉時代に現代の和食の原型である「一汁一菜」が確立されたことから、みそ汁誕生の地といわれている鎌倉。イタリアン、フレンチを熟知した「シェフチェンコ」こと井上遊太さんのみそへの思いとは?(聞き手/ ミソガール・藤本智子)
なぜ、フレンチやイタリアンからみそへ?
板前だった父の影響もあり、高校卒業後、料理の道へ。が、志望したのは、日本食ではなく、当時憧れていたフレンチ。広島のホテルやレストランで6年修行を積んだ後、上京。シェフとして働く中、オーナーとの出会いで、店を任されることになりました。みそを調べていくうちに、これまでのイメージを覆す味のみそがたくさんあることを知り、「これは世界に伝えるべきもの」と直感。また、昨年、伊ミラノでの研修の際、現地のシェフたちのみそへの関心度が非常に高かったことも、そう確信した要因の一つです。
お店のコンセプトは?
コンセプトは「五感でみそを楽しむ」。体によいことはもちろん、みその新しい使い方や楽しみ方を知る機会になってくれたらうれしい。料理には、信州みそや仙台みそなどの定番から、奄美大島のソテツみそや金山寺みそなど、あらゆるみそを取り入れ、量り売りもしています。そして、使う食材はできる限り鎌倉産。地元の生産者を訪ね、野菜は毎日仕入れに行きます。
みその魅力とは?
なんといっても、おいしくて体によいこと。料理は専門であるフレンチ、イタリアンの技術が基本となっていますが、調理する上で気をつけているのが、「塩分と糖分のバランス」。その点、みそは非常に味のバランスがよいので、主役にも隠し味にも最適。食材を選ばないため、研究に終わりはありません。
反響はどうですか?
観光客だけではなく、地元のお客さんがたくさん来店し、リピータになってくれています。鎌倉は古きよき、人のつながりの残るまちで、市民が歴史と文化を守っているともいえます。学校帰りの小学生たちが店に立ち寄ってくれたり、地元のイベントに参加したりと、地域との交流を楽しんでいます。
これからの夢を教えてください。
夢は、世界各国の家庭料理に当たり前にみそが使われるようになること。食文化の輸出は100 年先になるかもしれませんが、実現に向け進んでいきたい。この店が素晴らしい日本の伝統食材を見直す場として存在し、貢献していければ。また、今の自分があるのは、これまでたくさんの方に支えてきてもらったおかげ。お世話になった方々に長生きしてもらうためにも、安心安全な食材を使ったみそ料理を広めていきたい。
【味噌屋 鎌倉 Inoue 】
神奈川県鎌倉市佐助1-15-13
TEL/0467-38-8470
営業時間/10:00 ~ 17:00
※夜は予約のみ、月曜定休
Misoya Kamakura Inoue is a miso-dishrestaurant open since February, whoseconcept is to “enjoy miso with the fivesenses.” It’s located in Kamakura where it’s said to be the birthplace of miso soup. The chef Yuta Inoue sayshis wish is to bring happiness to people with miso.