武重美亜 さん「日本の食文化を世界に発信したい」

本紙創刊号から連載していた「味噌玉世界旅」(旅で出会う世界各国の人々に味噌汁を振る舞う)の武重美亜さんが、26 か国の旅を終えて無事帰国。毎月、連載を心待ちにしていた読者も多いと思いますが、いったい武重さんってどんな人?という疑問にお応えすべく、インタビューをしました。(聞き手/ ミソガール・藤本智子)

味噌汁を世界旅行のパートナーに選んだのはなぜですか。

大学時代にカナダへ留学。昔から海外に興味があり、外国人とコミュニケーションしたいと常々思っていました。でも、自分には特に芸があるわけでもないし…。そんな時、母の味噌汁がとてもおいしかったことを思い出しました。日本のソウルフードである味噌汁を世界中の人に飲んでもらおうと決意。婚約中の彼も旅好きで、2 人の意見は一致し、「味噌玉世界旅」はスタートしたのです。

見ず知らずの人にどのように味噌汁を振る舞ったのですか。

ボランティア活動をしながらのホームステイが大半でした。贅沢はできませんが、現地の人々の生活に密着し、普通の旅では体験できないことがたくさんありました。そこで私は、お世話になった方々へお礼に味噌汁を振る舞ったのです。企画に賛同してくれた新潟県の越後長岡味噌醸造・たちばなさんが行く先々に味噌を送ってくれたので、私のリュックにはいつもどっさり味噌が入っていました。

旅をする中で、大変だったことはありますか。

とにかく長距離移動は大変でした。インドでは男性ばかりの満員電車で50 時間の移動、200 人乗りのエコノミー船でアマゾン川を5 日かけて移動したことも。ネパールやインドネシアのクネクネした山道は車酔いとの戦いでした。

印象的なエピソードを聞かせてください。

10 日間インドで座禅を組む修行をしたことです。人と目も合わせない生活で、食事は一日一食のベジタリアン食。そこでは、普段ぼーっとしている時でも自然にめまぐるしく妄想や空想をしてストレスを感じたり、逆にハッピーになっていたり、感情に惑わされている自分の存在を知り、自分を見つめ直すよい機会となりました。

味噌を世界に広めるためにはどうしたらよいでしょう?

味噌は健康で、エコでおいしい!と、外国人にとっては魅力的なキーワードがたくさんあります。さらに味噌は日本人のソウルフードであると話すと、一気に理解が深まります。でも、日本人が好む形でそのまま伝えるのは難しいこともわかりました。また海外といっても、エリアや人種によってさまざまなので、その土地に合った味噌の食べ方、使い方を提案していくことが必要です。日本ではすっかり定着したオリーブオイルのように、味噌も世界中の家庭に当たり前にある調味料になってほしい。その可能性は十分にあると思います。

これから伝えたいこと、夢は?

海外で、あるいは日本での活動になるかは未定ですが、日本の文化や日本食の魅力、もちろん、一番は「味噌汁」を、世界中の人々に伝えたいと思っています。まだ具体的には決まっていませんが、今は次のアクションに向けて、夢の計画を立てているところです。

Mia Takeshige travelled to 26 countries and served misosoup as a thank you to the people who were kind and helpful during the trip. Now that she’s back in Japan,she’s working on a new plan to achieve her goal of spreading the appeal of Japanese culture and food to the world,especially miso soup, a Japanese comfort food.

関連記事

  1. ジャポニックスの味噌

    ジャポニックス・土屋勇蔵さん「豊かな食文化を次代へ!味噌は可能性の塊」

  2. 岩城こよみさん「古くから伝わるおふくろの味・ウチミソの力」

  3. 料理家・岸田夕子さん考案「ハチミツみそ」

  4. 【寄稿】一期一会のお味噌

  5. DJみそしるとMCごはんさん「おいしいものは人類の奇跡だ!」

  6. 大妻女子大学家政学部教授・川口美喜子さん「一杯の味噌汁が、ヒトの体と心の痛みを癒す」