2023年10月に東京・恵比寿に移転した「restaurant Hosomichi」は、ワインバー「tTure」の空き時間を活用したシェアレストランです。何か新しい特別なものではなく、普段から慣れ親しんでいる料理や当たり前に使っている味噌と発酵調味料で“日々ごはん”を楽しんでもらいたいというのがお店のコンセプト。味噌を使ったハヤシライスや定食が人気です。
「restaurant Hosomichi」について
シェフの新城和也さんは、長野県にある「レストラン酢重正之」などで10年近く料理を学んで、東京・麻布十番に日曜限定のシェアレストランを2023年3月にオープンしました。松尾芭蕉の「奥の細道」の世界観に魅了され、食と同時に旅の側面を持ったお店をつくりたいという思いからお店の名前を決めたそうです。
その後代々木上原への移転を経て、2023年10月に現在の恵比寿に移転。平日のランチ営業だけでなく、間借りしている「tTure」でも新城シェフの料理が提供されています。
看板メニューは長期熟成味噌が入ったハヤシライス
看板メニューの「ハヤシライス」には、かつおと昆布の合わせ出汁に長期熟成味噌を入れた和風味。濃厚なとろとろの牛すじと赤ワインの酸味が長期熟成の味噌にマッチしていて、“蕎麦屋のカレー”のようなどこか懐かしい馴染みのある味です。
またリピート率No.1は「鶏もも肉の味噌漬けカツ」。味噌の味と香りがしっかりついているので、ソースが要りません。他にも「サバの味噌煮」「彩り野菜と豚肉の黒酢炒め」など、ご飯と味噌汁、小鉢や漬け物がつく定食のスタイルで提供されています。
“味噌、発酵、日々ごはん”を楽しんでもらいたい
新城シェフが修行していた「レストラン酢重正之」は、1827年に味噌蔵として創業したこともあり、味噌や醤油、玄麦黒酢などのこだわりの発酵調味料が当たり前のように身近にありました。独立してからもずっと、当時と同じ「傳家 山吹味噌」と「長期熟成信州赤味噌」の2種類を使って、特別なものではない普段から慣れ親しんでいる“日々ごはん”を気軽に楽しく食べてもらいたいというのがお店のコンセプトです。
「軽井沢 川上庵」や「レストラン酢重正之」で料理を作り始めた頃、繁忙期の忙しい日々を過ごすなかで「新城さんが作った揚げ出し豆腐がおいしかった」というお客様の言葉に、初めて人の役に立つ喜びを感じたという新城シェフ。今でも当時の気持ちのまま、日々仕込みをしているそうです。
「テナントの都合もあり場所を度々変えることになってしまいましたが、それも旅の醍醐味と前向きに捉えています。今は実店舗開業を目指して準備を進めているので、楽しみにしていてください」
【restaurant Hosomichi】
東京都渋谷区恵比寿西2-8-11グランベルⅣ 2階(tTure内)
文/秋山昭代