新年を祝うごちそう料理に欠かせない「雑煮」。神さまに供え、神とともに食すというのが、雑煮を食べる大事な意味合いとされています。一口に雑煮といっても、餅の形や味付け、具材など、地域や家庭によってさまざまなバリエーションがありますね。
関東の私にとって衝撃的だったのは、白みそベースの「京風雑煮」と、香川のあん餅が入った「あん餅雑煮」! 毎年、各地のみそ味の雑煮を楽しんできましたが、記念すべく2019年のはじまりに選んだ雑煮は、奈良の「きな粉雑煮」です。
「きな粉雑煮」とは、丸餅やサトイモ、ダイコン、豆腐、にんじんなどを加えた白みそ仕立てのお雑煮。ここまでは京風雑煮と大差ないのですが、途中で餅を取り出し、砂糖入りのきな粉につけて食べるのが奈良県民の雑煮の楽しみ方。たとえるなら「安倍川もち」のような味わいで、白みその甘じょっぱさと、きな粉の香ばしさが最高のコンビネーション!
ではなぜ、きな粉なのか。諸説あるようですが、きな粉には悪霊を追い払う力、子孫繁栄、米の豊作などの願いが込められているのでは、といわれているそうです。
また、見逃せないのが、きな粉の栄養価。大豆は、これから植物として育とうする種子であるがゆえに、小さな一粒にたくさんの栄養素を含んでいます。ご存じの通り、「畑の肉」と称され、植物性タンパク質や脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなど、栄養の宝庫。きな粉は、大豆の栄養はほぼそのままに、消化吸収がよく摂取できるすぐれモノ。
しょっぱいもののあとには、甘いものが食べたくなりますが、「きな粉雑煮」なら、汁物とデザートを一緒に食べることができて一石二鳥。