さんが・平井孝芳さん「フランス産の味噌づくり 地産地消で食の在り方を伝えたい」

フランス・トゥール市近郊にある「さんが」は、麹や味噌、醤油を生産するほか、自給自足を目指して野菜の栽培や養蜂などを行っています。「さんが」の商品は、特に健康意識の高い地元フランスの人々に愛されています。代表の平井孝芳さんに、お話を伺いました。(聞き手 / 藤本智子)

1972年、神戸市生まれ。大学卒業後、建築会社に勤務。退職後、夜間高校の教師になり、その後、2004年にフランスへ渡り、数学教員として勤務後、2014年に「さんが」を立ち上げた。

「さんが」が誕生した経緯を教えてください。

5年間のサラリーマン生活の後、目標の一つだった夜間高校の教師となりますが、日本の教育に疑問を感じ、2004年にフランスに渡りました。しばらくは教員として働いていましたが、廃校を期にフランスの料理学校に通い、CAP(料理の資格)を取得し、食の世界へ。

日本にいる頃から、生活に必要なものはできる限り手づくりがいいと、趣味で畑もやっていたので、フランスで自家菜園や調味料づくりを始めたのは自然な流れでした。日本人にとって、「玄米と味噌」は健康の根本であり、多くの病を解決できる可能性を秘めている、という思いも強かったことから、2014年に麹屋「さんが」をスタートしました。

玄米麹

どうやって麹をつくっているのですか?

独学で麹づくりを学びましたが、日本とは気候が違うこともあり、最初のうちはうまく麹菌が繁殖せずに苦労しました。何度も試作を繰り返し、今のつくり方に辿り着いたのです。日本での麹の製法とは、異なる部分が多くあるのではと思います。現在もすべて手作業でつくっており、米・麦・豆麹ほか、最近では玄米麹の出来も非常によくなり、今後の主力にしたいと考えています。栄養価の高い玄米を白米にするのは、もったいないと思うからです。

玄米味噌

どんな味噌をつくっていますか?

原料はフランス産にこだわり、無農薬・有機肥料の米や大豆、ミネラルたっぷりの天日塩を使い、非加熱、無添加で仕上げています。米・麦・豆味噌ほか、ひよこ豆、あずき、えんどう豆、レンズ豆、白花豆を使った味噌もあります。冬の間に仕込み、じっくりと約1年ほどかけて熟成させ、秋~春頃にかけての限定品として、インターネットとマルシェで販売しています。

また、さんがの味噌は、フランスのオーガニック組織が認証する「NATURE & PROGRES」を取得しています。同認証は厳格なオーガニック基準をクリアしたものだけが取得できるものです。

反響はどうですか。

お客さまは、在仏と在欧の日本人が1/3、フランス人が2/3です。また、レストランからの注文ほか、味噌仕込みキットも人気です。特に宣伝活動はしていませんが、口コミで広がっています。もともと自然保護やオーガニックへの意識が非常に高いフランスですが、近年、若い新規就農者(特にオーガニック)が増えています。その仲間に入れていることが、とても嬉しく、マルシェでも、生産者と楽しくやっています。

最後に、メッセージをお願いします。

昔、味噌を自家醸造するのが当たり前だったように、それぞれの家庭で味噌を仕込み、それを家族で食べることが一番だと考えています。しかし、さまざまな理由でどうしてもできない方に、私の手前味噌をお分けすることで、喜んでもらえたらと思っています。これからも原料や製法にこだわり、お客さまが求める商品をつくる生産者でありたいと考えています。

株式会社ミソド代表取締役、一般社団法人みそまる普及委員会理事、「ジャパン味噌プレス」編集長、みそソムリエ。アパレル販売員、読者モデルを経て、2011年「ミソガール」として味噌の普及活動を開始。みそまる考案。ミラノ万博や伊勢志摩サミット等イベントやメディア出演を通し、味噌の魅力を伝えている(2019年MISODOに改名)。『みそまる』(宝島社)、『手軽に作れて、キレイに効く! みそまる』(主婦と生活社)等著書多数。※サイトに掲載している記事は取材当時の情報のため、現在と内容が変わっている可能性がございます。