フリアンパン洋菓子店・松村知幸さん「昔ながらの手づくり製法、群馬名物のみそパン」

群馬県のご当地グルメ「みそパン」は、甘じょっぱい味噌ダレをパンに挟んだもので、地元ではお馴染みのパンです。テレビなどのメディアでも度々取り上げられていて、全国的にも注目を集めています。「みそパン」の元祖ともいわれる、フリアンパン洋菓子店の代表取締役社長・松村知幸さんにお話を伺いました。

聞き手/秋山昭代

【松村知幸さんプロフィール】
1978年生まれ、群馬県出身。商業高校を経て、大阪の辻製菓専門学校へ進学。東京のパン・洋菓子店に就職し修行を重ねた後、一般社団法人日本パン技術研究所で約1年間研修生として経営のノウハウを学ぶ。2000年にフリアンパン洋菓子店に入社、2011年に3代目に就任。

フリアンパン洋菓子店について

フリアンパン洋菓子店の前身は、1949年創業のベニヤ製菓という給食用のコッペパンを製造していた会社で1968年に小売りを本格化し、社名をフリアンパン洋菓子店に変更しました。

現在は、「みそパン」の他に食パンや総菜パン、クッキーなどを製造販売しています。中でもクリームチーズケーキは密かな人気商品で、2011年に開催された「第60回群馬県特産品展示即売会」で、最高賞である農林水産大臣賞を受賞しました。

先代である父は、もともと別会社の会社役員として働いていましたが、突然、ベニヤ製菓の社長だった知人から店を引き継ぐことになりました。私が中学2年生だった時の話ですが、全く異業種の仕事を始めた父に、とても驚いたのを覚えています。

私自身も高校生の時からアルバイトをしていて、いつか継ぐことを意識していましたので、入社したのもごく自然な流れでした。

どんなお仕事をされていますか?

会社全体の管理から製造、広報活動まで、仕事は多岐にわたります。

製造には基本入るようにしていて、夜中の3時頃から始め、午後1時頃まで。一日におよそ1500個の「みそパン」と、その他のパンも600個ほど焼いています。一度に焼ける数が限られているので、何度も繰り返しオーブンで焼き続けますが、繁忙期やイベント時には、さらに前の夜から仕込み始めます。

焼き上がり次第、自社便で配送していますが、少しでも早くお届けしようと、職人一同頑張っています。

「みそパン」誕生ストーリー

「みそパン」は、1970年代頃、“群馬の名物をつくろう”と開発されたもので、群馬県のソウルフード「焼きまんじゅう」をヒントにつくられました。

「焼きまんじゅう」とは、小麦粉を練り合わせ発酵させてつくったまんじゅうを串に刺し、甘い味噌ダレを裏表に塗ってこんがり焼いたもの。まんじゅうと言ってもフワフワしたパンのような食感で、濃厚な味噌ダレに香ばしさがプラスされ、郷愁感のある味わいです。

群馬のお土産品としても人気で、お店によりさまざまなテイストの「みそパン」が販売されています。

フリアンパン洋菓子店自慢の「みそパン」

当社の「みそパン」は、こねる作業以外は、手作業で一つひとつ丁寧に仕上げています。

使用する味噌ダレは、限られた職人しか知らない秘伝の配合でつくられています。2種類の赤味噌、上白糖、水あめを煮詰め、さらに一週間寝かせることで溶けた砂糖が再結晶化し、独特のザラッとした舌ざわりになります。

石窯で焼くフランスパンは、小麦粉の芳醇な風味を味わえる、ふんわりとしたソフトタイプ。使用する小麦粉は、県内の業者に特別に配合してもらったものを使用しています。

手前味噌ですが自慢の一品で、私自身、今でも毎日食べるほど大好きです。

読者に一言お願いします。

最近、立て続けにテレビなどで取り上げられたこともあり、たくさんのご注文をいただいています。

通常、消費期限は3日となりますが、現在、冷凍発送を増やすための設備投資をして、今年の秋頃には本格稼働の予定です。

これまで以上に多くのお客様に届けることが可能になるのはもちろん、職人の働き方改革にもなるので、よりよい商品づくりに力を注げると考えています。

ECサイトも一新する予定ですので、楽しみにしていてください。

「みそパン」は、沼田市内の直営3店舗の他、道の駅「川場田園プラザ」、群馬県内の大手スーパー、高崎駅直結の「群馬いろは」、銀座にある群馬県のアンテナショップ「ぐんまちゃん家」、ECサイト等で購入可能です。

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