「鉄火味噌」は、味噌にごぼうなどの根菜、炒り大豆、とうがらし等を加えて、砂糖や酒で調味し練り上げた栄養満点のおかず味噌だ。カラカラに乾燥させたふりかけタイプもある。栄養価の高さから、マクロビオティックの食事療法としても取り入れられているほか、旧日本軍隊のレシピ集『軍隊調理法』にも掲載されている。食事の質は、軍の戦闘能力に影響するため、限られた食材の中で工夫を凝らし、バランスのよい献立が考えられていた。現代人の健康維持にも大いに役立ち、学ぶべきところが多くある。
寒さも一段と厳しくなり、この時期気になるのは、冷え性だが、「冷えは万病のもと」といわれる通り、肩こりや腰痛、便秘、肌荒れ、イライラ、不眠のほか、免疫力を低下させ、さまざまな病気を引き起こす要因になるため、注意が必要だ。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2016年)によると、「手足が冷える」という自覚症状のある人は、人口1千人当たりで女性が32.7人、男性が14.6人。この値は年齢が高くなるほど大きくなり、65歳以上に限ると女性が65.2人、男性が41.3人だった。これはあくまで自覚症状がある場合で、“隠れ冷え性”は相当数いると予測される。
味噌は体の新陳代謝を高め、造血作用に優れた万能調味料だ。原料の大豆のままでは体を冷やす「陰性」の性質をもつが、大豆に麹と塩を加え、発酵・熟成させることで、体を温める「陽性」の食材に変わっていくとされる。
鉄火味噌は、ごはんのお供やお酒のおつまみにもぴったりで、常備しておくと重宝する。手軽にできる“食養生”で、寒い冬を乗り切ろう。
【参考】
『復刻 軍隊調理法―元祖男の料理 』(発行/講談社、著者/小林完太郎)、『満蒙開拓青少年義勇軍よもやま物語』(発行/光人社、著者/長岡喜春)、『産む力・育つ力を高める食養』(発行/WAVE出版、著者/齊藤典加)、『みそ知り博士のQ&A50』(発行/みそ健康づくり委員会)