昔から良質の麦の生産地である埼玉では、麦味噌づくりが盛んである。九州地方でよく食べられている甘い麦味噌とは違い、塩分もしっかりときいていて、長い間ゆっくりと発酵熟成を行うため、香りが高く、まろやかで豊かな風味が特徴だ。一方、秩父の食卓には必ずといっていいほど登場する定番おかずが「おなめ」。
大豆と麦、塩を主原料とし、麹菌の酵素の力によって醸造されたもの。おなめの語源は、お箸を舐めてしまうほどおいしいからと伝えられている。たとえるなら、味噌と醤油の中間のような味わい。地方によってつくり方もさまざまで、「ひしお」「醤油の実」と呼ばれることもあり、嘗め味噌(おかず味噌)の部類になる。
秩父地方でも、各家庭により「おなめ」の味はさまざまで、まさに「手前おなめ」!? 味噌のように、長期間寝かせるわけではなく、1 週間くらいで完成するので手づくり派も多いとか。
新井武平商店の「秩父おなめ」は、通常のおなめに茄子と生姜を加えたもの。塩がほんのり効いていて、ごはんはもちろん、野菜や豆腐とも相性が良い。黄色のパッケージがかわいく、お土産にも人気だ。秩父が生んだおふくろの味をご賞味あれ!
【新井武平商店】
埼玉県秩父郡皆野町大字皆野1120-2
TEL/0494-62-0032
Oname, made with soybeans, barley and salt, is a local food from Chichibu, Saitama. It’s named oname, which means‘lick,’ because people couldn’t help but lick their chopsticks after a meal with oname. It goes great with rice, vegetables, and tofu.