20 代で乳がん、結婚・出産を経て肺がんに転移、33 歳の若さでこの世を去った安武千恵さんと、夫・安武信吾さん、娘・はなちゃんの実話を元にしたエッセイ『はなちゃんのみそ汁』(文藝春秋刊)は、2012 年に発売されるやいなや、常にひたむきな明るさで生きる姿が日本中で話題を呼び、書籍やテレビドラマ化、教科書への採用など、社会現象を巻き起こした。その『はなちゃんのみそ汁』が、このたび映画化された。
はなちゃんは5 歳の頃から毎朝鰹節を削り、味噌汁をつくっている。それは、亡き母・千恵さんとの約束。母が娘に伝えたかったのは、「食べることは生きること」。
映画で千恵さんを演じるのは広末涼子さん。信吾さん役は滝藤賢一さん。はなちゃんを演じるのは赤松えみなちゃんだ。
11 月4 日に開かれた完成記念のイベントでは、広末さんとえみなちゃんが鰹節を削ったり豆腐を切ったりして味噌汁づくりを披露。会場は終始和やかなムードに包まれた。
広末さんは、「母が試験前は必ず味噌汁を飲んでいきなさい。脳の動きが良くなるからって。当時はいまいち意味がわかっていなかったけれど、朝あったかいお味噌汁を飲むことで、基礎体温を上げたり、体や脳を活性化したり。ママの言うことは間違っていなかったんだな」と味噌汁のエピソードを披露し、母親への感謝を口にした。
一青窈の主題歌『満点星』(ユニバーサルミュージック/EMI Records)も心に響く曲。命や家族の大切さ、生きることの意味を考えさせられる映画である。
文庫版『はなちゃんのみそ汁』
安武信吾・千恵・はな 文藝春秋/ 580 円(税別)