九重味噌・九重彰寛さん「滋賀県発!昔ながらの麹蓋製法にこだわった白味噌づくりを」

「九重味噌」がある滋賀県大津市は、京都に隣接しているため、お正月に白味噌仕立てのお雑煮を食べる風習があります。お雑煮用の極上白味噌をはじめ、味噌漬け用の白味噌や、甘酒、米麹等を昔ながらの製法にこだわってつくり続けています。代表取締役社長の九重彰寛さんにお話を伺いました。

聞き手/秋山昭代

【九重彰寛さんプロフィール】
1982年生まれ、滋賀県出身。工学部の大学卒業後は、自動車ディーラーの営業として販売のノウハウを学ぶ。2006年九重味噌に入社し、2018年5代目に就任。

九重味噌について教えてください。

明治元年、先祖が滋賀県守山市から大津に移り住み、米屋を始めたことがきっかけで、手づくり味噌の販売を始めました。現在も昔ながらの麹蓋製麹法での麹づくりや天然醸造にこだわり、白味噌や甘酒などを製造販売しています。県内有名ホテルや旅館、飲食店、食肉卸、鮮魚卸、学校給食など幅広く活用いただいていて、小売販売やECサイトでも購入できます。

入社経緯と普段のお仕事について教えてください。

工学部の大学卒業後は、自動車のディーラーに就職。営業として、販売のノウハウを学びました。いずれは家業を継ぐつもりでしたので、九重味噌への入社は自然な流れでした。ただ、当時は味噌に関する知識が全くなかったため、入社してから味噌の勉強を兼ねてホームページを立ち上げました。伝統的な製法は父から継承した他、取引先の業者さんに教えてもらったり、独学で調べたりしながら経験を積み上げ、今に至ります。

普段の仕事は、麹や味噌の製造、販売、地方への発送作業、SNSでの発信など多岐にわたります。弟が県内の営業を、母が経理を担当するなど、家族で切り盛りしています。

看板商品「極上白味噌」の特徴は?

原料は、北海道産白目大粒大豆、国産米、国産塩のみ。職人3名が4日間かけて丁寧につくる、麹蓋を使った手づくり製法の蓋盛り麹を使用しています。酒精や水あめなどは加えず、米麹による自然な甘味のみ。塩分を3.4%と極限まで下げることで、繊細な白味噌の甘味が引き立ちます。

大豆の脱皮が他の味噌との大きな違いで、白味噌の色やキメ細かさに影響する重要な工程です。一度に作業できるのは大豆140kgで、薄皮を約1時間かけて丁寧に取り除きます。それでも残ってしまった薄皮は、大豆を茹でる工程で沸騰と水替えを繰り返して、灰汁と一緒に吹き流します。

白味噌を気軽に取り入れてもらいたい!

最近のおすすめ商品は、味噌漬け専用の「白荒味噌」をベースに、みりんと酒をバランスよく合わせた調味済みの味噌床です。素材を漬けるだけで、どなたでも簡単にプロの味を再現できます。味噌の酵素は、たんぱく質の分解を促進して肉や魚の身を柔らかくし、旨味をアップ! お正月のお雑煮以外にも、白味噌を気軽に取り入れていただけたらと思っています。

京都には名立たる白味噌の老舗があるので、競争に負けないために、ひっそりと美味しい白味噌づくりを心がけてきました。麹蓋を使った白味噌は、機械づくりでは出せない深い味わいと自然な甘さ。こだわりの白味噌をぜひご賞味ください。

関連記事

  1. 近商ストア創業60周年感謝フェア@大阪

  2. 1月22日(土)「あるままOYAKOフェス」みそまるワークショップ&バイキング

  3. 「’17食博覧会・大阪」味噌ステージ計700人 

  4. 発酵がキーワード!やさしい暮らしを提案するライフスタイルショップ「85[ハチゴウ]」

  5. マルカワみそ・河崎宏さん「経済価値より生命価値を大切に」

  6. 雨の日も風の日も糀をつくって320 年