自社農場で育てたお米や大豆を使用し、生産から加工・販売までを一括して行う「みそ工房なずな」。神奈川県厚木市で12 代250 年にわたり農家を営む新藤家に嫁いだ新藤悦子さんが、一心に取り組むみそづくり。安心安全な食へのこだわり、地元への思い、地域の人々に愛される理由とは?(聞き手/ ミソガール・藤本智子)
「みそ工房なずな」を立ち上げたきっかけは?
私は農家で育ったので、自宅でみそをつくるのは当たり前でした。もう随分前ですが、地元の小学校の食育体験でお米づくりをし、みそおにぎりや豚汁をふるまいました。そのときの子どもたちの喜びように衝撃を受け、「子どもは本物の味、体が欲している味がわかるんだ」と実感。昔ながらの自然の味、地元の食材についてもっと関心を持ってもらいたいと、「みそ工房なずな」を立ち上げました。
「みそ工房なずな」のみその特徴とは?
完全無添加で、昔ながらの手づくりを特徴としています。大豆は「かながわブランド品」に登録され、「幻の大豆」といわれている「津久井在来大豆」を使用。鉄釜でじっくり6 時間煮ることで大豆に甘味が増し、豆本来の味を引き出します。糀は自社生産の米を使い、独自の伝統製法でつくります。1 か月に500kg を仕込み、1 ~ 2 年ほど寝かせて完成。香りが豊かで、煮込んでも味が崩れにくいのが自慢です。
地元「厚木」にこだわる理由とは。
厚木の農業や食文化を伝えていくこと、昔ながらの古きよき地域のつながりを大切にしていきたいと考えています。その結果のひとつともいえますが、私たちのみそづくりの事業計画は、農林水産省の「6 次産業化法」に基づく認定を受けました。今後は、これまで以上にみそや地元産品を使った加工品を生み出し、新たな地域ブランドや雇用の創出をすることで、まちの活性化に貢献していきたいです。
新藤さんのパワーの源は?
これまでスタッフや地域の皆さん、支援者さんたちに支えていただき、今があります。そういう方々とのつながりが励みになってできている活動です。ですから地元への恩返しも含め、地域のイベントや食育活動には都合がつく限り積極的に参加、直売店舗の2 階にコミュニティスペースを設け、勉強会や交流会を定期的に開催しています。
これからの夢を教えてください。
昔ながらの安心安全な食を次世代へ伝え、残していくことでしょうか。手づくりは手間暇かかりますが、それ以上に大切なことがあると考えています。商品や活動を通して、自然の味や地元厚木の魅力を知ってもらうきっかけになってくれたらうれしいです。
【みそ工房なずな】
厚木市恩名1-16-64
TEL/080-5658-0727
Etsuko Shindo is the president of Miso Kobo Nazuna,which is located in her home city of Atsugi andproduces miso made with homegrown ingredients.She places a great importance on supporting the localcommunity and spreads the appeal of the city through her products and activities.