祖母に受け継ぐ天然の味「宮古みそ」

沖縄県の宮古島では、味噌汁以外にも、味噌炒め、味噌煮、おかず味噌といったあらゆる料理に味噌が使われていて、「味噌が宮古島の味を支えてきた」といっても過言ではない。

「宮古味噌」は、主に大豆、麦、塩でつくられる麦味噌である。 宮古味噌を製造販売するマルキヨ味噌の下地康信社長に話を聞いた。

祖母キヨさんの味を受け継ぎ、昔ながらの製法で味噌をつくり続けている下地さん。かつては女手ひとつで味噌をつくり、自転車で売り歩いていたというキヨさん。やがて味噌の味が評判となり、地元の人に愛されるところとなった。引退し90 歳というご高齢の今も、日々味噌のことを気にかけ見守り続けている。

マルキヨ味噌の味の決め手は、「天然の麹菌」でつくる麹にある。一般的な味噌製造に使われる「種麹菌」を使用せず、ここに住み着いている麹菌のみでつくる。温度や湿度管理が重要な麹づくりだが、下地さんは温度計をほとんど見ない。いわゆる「職人の勘」で麹の状態を感じ、窓の開け閉めで温度や湿度を調節しているのである。こまめに麹の様子をチェックしながら、約4 日間かけてつくる麹に、煮大豆と塩を合わせ、半年から1年をかけて、じっくりと自然の流れで熟成させていく。

原材料は大豆、麦、島マース(塩)に泡盛。「島マース」はカリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル分が豊富に含まれる県産の天然塩。塩なれし、コクと深みのある味わいが特徴の宮古味噌は、味噌汁だけでなく、煮込みや炒め物にも適している。

「小さい頃から、おばあちゃんのつくる味噌のおいしさを知っていたので、跡を継いだのは自然の流れ。昔ながらの製法でつくる味噌は生産量も限界があるが、この味を守り続けるためには手間を惜しまない。夢は全国の皆さんに「宮古みそ」を味わってもらうこと」と下地さん。

【マルキヨ味噌】
沖縄県宮古島市平良字荷川取651
TEL/0980-72-1816

Yasunobu Shimoji, the president of Marukiyo Miso on Miyakojima Island, makes Miyako Miso with traditional methods, which he learned from his grandmother. The miso is naturally matured for six months to a year, and it has a rich, deep flavor and goes well with a variety of dishes.

関連記事

  1. ホシサン・熊本の自然を生かした味噌づくり

  2. さんが 味噌

    さんが・平井孝芳さん「フランス産の味噌づくり 地産地消で食の在り方を伝えたい」

  3. 忠臣蔵にも登場する「ちくま味噌」

  4. 鎌倉味噌醸造・村上ひろしさん「味噌好きが高じて味噌屋に。夢は味噌蔵食堂のオープン」

  5. 新庄みそ

    新庄みそ・山本美香さん「マンパワーがおいしさの秘訣」

  6. 石垣島・ぴにおんヒット商品「南の島のくうすみそ」