2018年に、農薬不使用で大豆を育てるプロジェクトを始動。舞台に選んだのは、日照時間日本一で大豆を栽培するには最適とされる山梨県北杜市の農場です。
現地で農業を営む木内由理子さん(写真右)ご指導のもと、春先から水路の確保や耕うんなど畑の整備を始め、その後、種付けや害獣対策、雑草取りなど、すべて自分たちで行いました。
約1反近くある畑の管理は、想像を超える作業量。中でも炎天下の雑草取りは、忍耐力との過酷な闘いです。大豆を守るため、畑に這いつくばりながら、スタッフ皆で草を刈りました。
最初は、「ぎょえ~」と叫びながらも、次第にイモムシやミミズとも仲良しに(笑)。
台風や大雨などの災害もあり、予定より収穫量は少なくなってしまったものの、無事に大豆を収穫することができました。ここまで育ってくれたことに感謝、感謝。
そして、大豆に夢を詰め込み向かったのは、上諏訪にある神州一味噌発祥の蔵「丸高蔵」です。
丸高蔵は、1662年創業の清酒「真澄」を醸造していた、十九代宮坂伊兵衞さんの「健康に良い味噌を醸造するように」との命により、1916年に味噌の醸造を始めたそうです。大正時代に移築された蔵は、国の登録有形文化財にも登録されていて、歴史の風格を感じます。
今回、味噌仕込みにご協力いただいた味噌職人の皆さんです。
大豆をよく洗い一晩水に浸けたあと、加圧しながら一気に蒸していきます。金森明工場長の「煮上がり良好◎」のお言葉に、ほっと胸をなでおろしつつ味見をしてみると、ホクホク柔らかくて甘い! 「味噌豆は七里帰っても食え」ということわざがありますが、自分たちで育てた大豆なので、おいしさも倍増です。
蒸し大豆を機械でつぶし、ミンチ状にしたあと、米麹(長野県産コシヒカリ)、塩(石垣の塩)を混ぜて機械で撹拌。最後に空気が入らないように、木桶に味噌を詰めていきます。
味噌職人の皆さんの見事な連携プレーで、あっという間に仕込みが完了。約1年半、発酵・熟成させて、ついに完成となりました。
信州は、いわずと知れた味噌のメッカ。自然豊かで、昼夜通し寒暖の差が激しい気候であることも、味噌づくりに最適とされる所以です。味噌もさぞかし、心地よかったことでしょう。言葉でいい表すのが難しいですが、色、香り、テリ…、とにかく最高です!