北欧調のかわいらしい店内も見どころの味噌汁カフェ「miso汁香房」は、10年間営業していた東京の大岡山から、2021年7月に横浜の藤が丘に移転しリニューアル。店主の天野恭子さんに、味噌汁を通して伝えたい思い、兵庫県丹波篠山での味噌づくりや農作業についてお話を伺いました。
聞き手/秋山昭代
【天野恭子さんプロフィール】
1965年生まれ、大阪府出身。短大卒業後、大阪で食品メーカーに就職。結婚を機に退職し横浜市へ。1男1女の母。2011年に料理本と古本のカフェをオープンし、2014年に味噌汁カフェ「miso汁香房」にリニューアル。2020年に「里山の恵みを活かす」を信条に丹波篠山での農作業と味噌製造を本格化させ、現在は、横浜と丹波篠山の2拠点生活。
miso汁香房について教えてください。
「miso汁香房」は、旬の食材をふんだんに使った味噌汁の定食や、黒豆味噌カレーなどを提供する味噌汁カフェです。
私たちが丹波篠山で生産した野菜や、全国各地の顔の見える生産者から仕入れた食材を使用し、一つひとつ丹精込めてつくっています。味噌は、自家製味噌をはじめ、伝統製法でつくられた味噌を全国各地から取り寄せ、具材に合わせてチョイスしたり、ブレンドしたりしています。
「日本のソウルフードである味噌汁の魅力をより多くの人に伝えたい。そして、生産者たちの思いのこもった食材を、味噌汁という形を通して人々にお届けしたい」という思いで運営しています。
miso汁香房を立ち上げたきっかけは?
子育て真っ最中のとき、“ごはんと具だくさんの味噌汁で立派な食事になる”と気づいたことが、味噌汁に着目したきっかけでした。その頃から味噌に興味を持つようになりました。
不思議と毎日食べても飽きない味噌汁ですが、きっと理屈抜きにして、日本人の体と心が自然に受け入れられる食べ物なのだと感じています。
そして、子育てがひと段落した2011年に東京の大岡山に料理本と古本のカフェをオープンし、2014年に味噌汁カフェとして趣を変えました。そして、コロナ禍でも営業できる店舗へ改善するため、2021年7月に横浜の藤が丘に移転し、現在に至ります。
原材料へのこだわりを教えてください。
直接農家を訪問して吟味し仕入れることもありますが、最近は、丹波篠山で農薬を使用せずに栽培された野菜を中心に使っています。
元々、丹波篠山には親戚が住んでいたのですが、丹波篠山黒豆(以下、黒豆)の枝豆を初めて食べさせてもらったときに、そのおいしさに衝撃を受けました。以来、旨味やコクがあり栄養価も高い黒豆のファンになり、自分たちで栽培してみたいと思うようになりました。
念願叶い、2020年に丹波篠山に夫婦で移住し、5反ほどの畑で主に黒豆を生産しています。そして、miso汁香房専用の小さな味噌製造室も丹波篠山に設けました。
夫は農業初心者でしたが、定年後、先輩の農家さんに教えていただきながら、農作業中心の生活をしています。また、昨年からは、竹林の管理なども行っています。
黒豆味噌の特徴やオススメの使い方を教えてください。
私たちが丹精込めて黒豆から生産した「黒豆味噌」は、ぜひ味わっていただきたい一品で、店頭で量り売りもしています。
黒豆を味噌に使用する際、見栄えを良くするため、わざわざ皮を取り除く人も多いのですが、皮にポリフェノールなどさまざまな栄養素が含まれますので、そのまま入れています。また、出来上がってから濾しているので、なめらかな仕上がりです。
普段のお味噌汁はもちろん、味噌とマヨネーズを1対1で混ぜ合わせた「味噌マヨ」もオススメです。また、厚揚げにたっぷり塗ってオーブントースターで焼き目を付けたり、すりつぶした山椒と合わせた山椒味噌もおいしいです。
読者に一言お願いします!
丹波篠山での日々の様子や、定期的に開催している味噌づくり教室などの情報をInstagramやFacebook、メールマガジンで発信しています。なお、農繁期や味噌仕込みの時期は、miso汁香房の営業が限定的になりますので、SNS等で営業日のご確認をお願いいたします。
現在試作中なのですが、黒豆を麹にしてもらい、豆味噌を仕込んだところです。いずれ販売予定ですので、楽しみにしていてください。
【miso汁香房】
横浜市青葉区藤が丘1丁目44−6
TEL/045-877-6220