味噌との出会いを楽しむために 味噌選びの“ものさし”を持とう

味噌

歌う味噌屋の若旦那こと、酒井雅敏です。

突然ですが、普段お使いの味噌は、何を基準に選んでいますか? 色、味、原料? ご存じの通り、お味噌は多種多様。いずれも優劣つけがたく、用途や好みはさまざまなので、一概に何がよいとはいえません。

ただ、味噌を選ぶ基準=ものさしを持っていない人があまりにも多く、もったいない!と感じています。ということで、今回は、長年問屋として味噌に携わってきた私が、味噌選びのコツを伝授します。

細かな説明は割愛しますが、まず原料の違いは明確なので、原材料ラベルを見ればわかりますね(米味噌、麦味噌、豆味噌、調合味噌)。あと、色の違いも赤系か白系か、なんとなく好みは決まっていると思います。

あとは、味噌選びに大変便利な指標がよくパッケージに「○割麹」と記載されている「麹歩合」(大豆原料に対する麹原料の割合)です。10割なら大豆1:米1、20割なら大豆1:米2となります。同じ塩分量の場合は、麹歩合が高いほど甘口になります。

味噌の方向性が決まったら、さらに深く見ていきましょう。味噌の最高峰は、味噌本来の味を楽しめる「生味噌」(非加熱)で、さらに原材料に酒精やだし成分など、添加物が入っていない「無添加」なら、さらによいでしょう。

「生味噌」の見分け方としては、「生」と表示されている。カップ容器に小さな呼吸口やバルブが付いている。冷蔵コーナーにある。「酒精」(醸造用アルコール)が入っている。いずれかに当てはまれば、生味噌です。

生味噌は、酵母菌や乳酸菌などの発酵菌が生きているため「腸活」にも最適の上、麹由来の酵素が残っているため、味噌漬けにすれば肉や魚が柔らかくジューシーに仕上がります。

そもそも、味噌は加工食品の中では、添加物を使用しない(使用しても少量)食品の代表格。数少ない中で使われる可能性が高いのは、酵母の働きを抑制する「酒精」です。ただ、ごくわずかな量(1 ~ 2%程度)で、味にはほとんど影響せず、味噌汁にした場合は加熱の際に飛んでしまうのでご安心ください。

「だし入り味噌」は、ここ20年くらいスーパーの特売の目玉商品としてよく取り上げられリピーターが多い人気商品です。生味噌には、だし成分を分解してしまう酵素が含まれるため、加熱してその酵素の働きを失活させてからだしを入れる必要があります。つまり、「だし入り味噌」は、発酵菌や酵素の働きという点は期待できません(近年では、死菌も腸内細菌のエサとなり、腸内環境を良好にすることがわかっています)。

もちろん「だし入り味噌」は、簡便さとおいしさでは何物にも変えられませんので、「だし入り味噌」に加えて、「無添加の生味噌」を常備ことをおすすめします。

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