「田楽は むかしは目で見 今は食い」という句がある。この意味は平安時代以来、田植えの際に田の神を祀るために田の畔で笛や太鼓の伴奏で歌い舞った「田楽舞い(田楽踊り)」にある。やがて、それを専門職とする「田楽法師」が現われ、下に白袴、上に色のついたものを着て、「高足」という一本足の竹馬のようなものに乗り踊る姿が豆腐の串焼きにそっくりだったことから、「田楽」という名がついた。
「高森田楽」は、阿蘇特産の「つるの子いも」をはじめ、豆腐、こんにゃく、ヤマメなど、さまざまな食材を串にさし、囲炉裏で焼く熊本の郷土料理。山椒みそ、ゆずみそなどを塗って食べるのがお決まりで、香ばしい香りが食欲をそそる。昔、諸国行脚に出た村人が、京都や出雲で豆腐の田楽を食べて帰り、それを阿蘇特産の里芋「つるの子いも」に応用したのが始まりとされ、その後は「つるの子芋」をよりおいしく食べる知恵として、農家の定番料理となっていった。タイムスリップしたような懐かしい空間で、団らんしながらじっくりと焼けるのを待つ…。そんな幸せを体験しに、阿蘇観光に出かけてみてはいかが?
Takamori Dengaku, a local dish of Kumamoto,is grilled skewered foods, such as taro, tofu, and konjac, that are glazed with miso.