アナウンサー・菅野詩朗さん「無農薬の大豆でみそ仕込み」

「大相撲熱戦十番」「ライオンズナイター」「ホームランナイター」、オリンピック中継などでおなじみのスポーツアナウンサー・菅野詩朗さんは、数々の名(迷)実況で人気を博した。2012 年秋に文化放送を退職し、現在はフリーで活躍中。大のみそ好きという菅野さん、そのきっかけなどを伺った。
(聞き手/藤本智子)

お仕事について教えてください。

高校時代、友人に誘われて放送部に入ったのが、この世界への導入部。大学では東京アナウンスアカデミーに通い、卒業後、アナウンサーに。以後、約40 年にわたり、文化放送の実況アナウンサーとしてさまざまな番組を担当してきました。2012 年に文化放送を定年退職し、現在はフリーアナウンサーとしてスポーツ番組(BS、CSTV、ラジオなどの野球中継、ネット中継)等に携わっています。

アナウンサーの醍醐味は?

さまざまな競技を中継してきましたが、特に印象的だったのは、「大相撲熱戦十番」。取組の合間の支度部屋リポートなどが好評でしたが、その裏側は大変! 相撲は6 時過ぎには終わりますが、その後が長い! 力士たちと飲みに行き、翌日の朝稽古には必ずかけつけます。ハードですが、それがあってはじめて信頼が生まれます。数いるリポーターの中で自分だけに話してくれること。それがキラリと光る情報です。人間関係をつくるには、努力と熱意が必須。「相手が心を開いてくれた瞬間」を味わえるのが、アナウンサーの醍醐味といってもいいかもしれません。選手や監督に接する機会も多く、そこから世界や知識が果てしなく広がっていきました。

みそとの衝撃的な出会いは?

日本の自給率を考える「食育」をテーマにしたラジオ番組(文化放送 「たまなび」)に出演する機会がありました。メインキャスターの玉川美沙さんが産休に入るタイミングで、番組を引き継ぐことに。そこでリスナー(親子40 組)と一緒に大豆を無農薬でつくり、さらにその大豆でみそをつくる企画を実施。スポーツ中継とは全く異なる農業リポートは新鮮でした。同時に無農薬で大豆を育てる大変さを身をもって体験。それが、みそとの出会いでした。

みそをどんな風に楽しんでいますか?

趣味はお酒を楽しむこと、〆は仙台みそのみそ汁と、昔から相場は決まっていました。ところが、はじめて手づくりみそでつくったみそ汁の味は「これが、みそ!?」というほど衝撃的なおいしさ。感動してみそ汁をごくごくと何杯も飲んだことを覚えています。以来、すっかりみそに魅了され、毎年夫婦でみそを仕込むのが恒例に。みそへの関心も高まりました。最近は年に一度、16kg を仕込んでいますが、「手前みそ」は親族や友人たちにも好評で、あっという間に完食。ご近所にも楽しみにしている方がいます。ですから、わが家の分はあっという間になくなってしまいますが、そんなつながりも、みそを楽しむ一つとなっています。

夢を教えてください。

私、実は、NG アナウンサーなんです。NG 集のCDがあるくらい! 試合に熱中するあまり数々の珍実況を連発。もちろん、NG はNG なんですが…。上手に話せば伝わるかというと、それも違う。一語一語間違わずに言えたとしても、気持ちが入っていなければ、現場の臨場感は伝わりません。ラジオは映像が見えない分、音で楽しませるエンターテインメント。熱気あふれる会場を想像させ、臨場感を味わってもらう。それこそが、ラジオのスポーツ中継ではないかと思います。アナウンサーとしての経験を生かして、スポーツ関係はもちろんのこと、他の分野でも役に立てることがあれば、と思っています。

Shiro Sugano, a freelance sportscaster, makes miso every year as he was mesmerized by miso through experiencing the miso-making process starting from growing organic soybeans, which was a project on his radio show.

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