1月18日(土)に大阪の四天王寺で開催された「みそまるマスター養成講座&認定試験」。受講者は「食」を仕事にする人、「味噌」に関心のある主婦や若い女性など、沖縄や長崎からの参加も含め、計15人。受講理由は、仕事で「みそまる」を使いたい、知識をしっかり身につけたい、地域で活動したい、近所の友だちや子どもに教えてあげたい、味噌嫌いをなおしたいなどさまざま。
講座で学ぶのは、基礎知識はもちろんのこと、パッケージや保存法など役立つ生活情報、ことわざや慣用句などのうんちく…、講座が進むほど味噌の奥深さを感じた。
お昼には、旬の「なにわの伝統野菜」天王寺蕪、田辺大根、難波葱を使ったみそまるを試食。講座の前日、直接農家に出向きおすそ分けをしてもらったもので、採れたての新鮮な味わいを堪能した。
いよいよ迎えた試験では、味噌やみそまる問題に回答し、「みそまるについての思い」を綴る。最後、一人ずつ前へ出てのプレゼンタイムは、拍手や笑いが起こる楽しい時間となった。家庭や職場、地域の中で、仕事や活動にみそまるをどう生かしていくか。「私にはどんなことができるだろう? やってみたい!」と、受講者たちの世界がどんどん広がっていく。
名嘉眞みどりさんは「沖縄で味噌の普及をがんばります。全国のみそまるマスターの皆さんと一緒に発信していきたい!」と熱弁し、子育て中の安藤ますみさんは「泥だんごで遊んでいるみたいで楽しかった。まずは娘とコロコロを楽しみ、その後は地域で、みそまるで人をつなげていけたら」と謙虚に話した。
自分や家族が、みそまるで健康で笑顔になったら、今度は誰かを笑顔にしたいと思うはず。地産地消のオリジナル「ご当地みそまる」を使って、家族や地域、そして世界とまあるくつながりたい。
私の住む大阪市は、なんと、味噌の年間購入数量ワースト1(総務省「家計調査報告」2017年度)。関西はおだし文化圏のため、お吸い物や麺類に押されていることも要因の一つだ。これからは、味噌汁だけでなく、調味料としての使い方もおすすめしていき、関西の消費量アップを目指したい。
今回、四天王寺さんの協力で本坊の食堂をお借りし、歴史と文化を感じる空間で味噌を学ぶことができた。地域の食文化と歴史の関係性もまた深い。
和宗総本山 四天王寺
推古天皇元年(593)に聖徳太子が建立した日本仏法最初の官寺。現在の建物は創建当時(飛鳥時代)の様式を忠実に再現、古代の建築様式が今に残る貴重な存在。約11万㎡(甲子園球場の3倍)の境内ではさまざまな催しが行われ「四天王寺さん」と親しまれている。
なにわの伝統野菜の中でも特に歴史が古く、宝暦6年(1756)長野県野沢温泉村・健命寺の晃天園瑞住職が天王寺蕪の味に感激し、種を持ち帰り栽培したところ、風土や気候の違いからか葉柄・茎丈の大きい「蕪菜」ができ、野沢菜として広がった。2017年には伝来250年を記念し、「野沢菜伝来記念碑」が、野沢温泉村から四天王寺境内に寄贈・建立された。
2月3日(月)の節分には、無病息災・厄除開運を祈り、干しかぶらを使った「天王寺かぶら汁」のイベントが四天王寺 和労堂で開催される。なにわの伝統野菜「天王寺蕪」を煮込んだ味噌汁を飲んで、一年の無事を祈りましょう。1食1000円、記念品付き。
なにわの伝統野菜とは
江戸時代、大阪は「天下の台所」と呼ばれ、その食文化を支える大阪独特の野菜が多数あった。しかし戦後、農産物の生産性を上げるための品種改良や食生活の洋風化の影響もあり、地域独特の品種が次々に消えていった。こうした伝統ある野菜を守り伝えていこうと、大阪府では「なにわの伝統野菜」の発掘と復活に取り組む。現在18品目が認定されている。