誰も教えてくれないお役立ち味噌情報「味噌パッケージのトリビア」

味噌の専門家 みそソムリエ ミラノ万博の様子

味噌を使ううえで、とっても大切な容器。今やカップ、ピロー袋、ガゼット袋に加え、ボトルやチューブなど、さまざまなタイプのパッケージが登場、売場をにぎわせています。

味噌パッケージ
参考:味噌の容器別出荷数量(全味工連月報集計・2018年)
※小数点第2位を四捨五入して計算
押尾産業
押尾産業の佐藤正和社長、藤田正利さん

今回は、普段なかなか知ることのない味噌パッケージをクローズアップ。「味噌パッケージのことならお任せを!」味噌業界を支える押尾産業の佐藤正和社長、藤田正利さんに、味噌パッケージについて教えていただきました。おいしさ長持ち&使いやすさもぐ~んとアップする方法や活用術のトリビアを紹介いたします。

押尾産業株式会社
東京都中央区明石町8-1 聖路加タワー32F(写真は新横浜工場)

味噌をはじめとし、さまざまな食品のパッケージ製造等で知られる押尾産業株式会社は、1923年に押尾製綱所 として創業。約100年にわたり、多様化する消費者のニーズを敏感にキャッチし、従来の製品にはないユニークな包装を開発。食品包装のパイオニア企業として食品業界、流通業界を支えている。全国各地の味噌容器を、数多く製造している。

味噌は空気に触れると変色したり、味や香りが落ちるので、耐久性に加え「酸素バリアー性」が重要!

①カップタイプ

味噌パッケージ

現在、最も主流なカップタイプ。一枚のシートを熱加工し、金型にはめ込んで成形され、正角・長角・楕円・円型とさまざまなタイプがある。耐久性が強く、長期保管する味噌には最適で使いやすさも◎。素材はさまざまあるが、色が変色しやすい白味噌には、より酸素を通しにくいものが利用されている。鮮やかに見せるため、うっすら黄色がかったタイプもある。

【トップシールには貴重な情報あり】
こちらも酸素を通さない特殊加工の紙が使用されているが、開封した段階で、その役割はなくなる。が、ここには、商品情報が掲載されている場合が多いため、半分くらい開けてとっておくのがおすすめだ。

【白いシートで乾き防止】
味噌の表面についている白いシートは、脱酸素剤が直接味噌に触れないようにすることと、味噌の乾きを防止するためのもの。この紙は捨てずにとっておくのがベスト。味噌は平らにし、表面にピッタリとシートをつけた状態で保存する。ただ、この紙は空気は通すので、酸化を抑えるという点では、ラップのほうが効果は高い。

【脱酸素剤は、開封後は不要】
食品は酸素に触れると酸化して品質が落ちるため、脱酸素剤を使って容器の中をほぼ無酸素状態にすることで、長期保存が可能になる。一般的な脱酸素剤の主成分は鉄粉で鉄が錆びる際に酸素と結合する働きを応用している。脱酸素剤は封を開けた時点で効力が失われるので、捨ててOK。誤って口にしないよう注意が必要だ。

【生味噌に付いてるガス抜きバルブ】
生味噌は、容器に詰めたあとも発酵を続け、この時にガス(主にCO2)が発生。穴を開ければガスは抜けるが、同時に酸素が入り込むと変色や風味劣化を起こす。そこで、ガスだけを抜き、酸素が逆流しない「ガス抜きバルブ」が開発された。もともとコーヒー用にあったものを味噌用にアレンジし、生味噌の流通革命が起きた。気孔に味噌やたまりが付着すると、正常にガスが抜けなくなるため、カップやガゼット袋を倒した状態にすることは避ける。

味噌パッケージ

【使い終わったカップ容器の有効活用】
味噌のカップは汎用性が高く、そのまま捨てるのはモッタイナイ。一番のおすすめは、「味噌漬け」容器として活用すること。味噌漬けにすると、生味噌の酵素パワーで、お肉は柔らかくジューシーになり、一気にグレードアップする。カップに味噌が少し残っているくらいがちょうどいい頃合い。カップにみりんか水を注ぎ、ゆるゆるの味噌床をつくる。味噌が乾いて固くなったり、色が濃くなったりしたときも味噌漬けなら気にならないし、漬け終えた味噌床は味噌汁へ活用できる。味噌を無駄にすることなく、最後は容器もきれいになって一石二鳥。その後は、冷蔵庫の惣菜入れや、お弁当や行楽の使い捨て容器に活用しても便利!

②ピロー袋タイプ

「ピロー」は枕の意で、省資源化に優れたパッケージだ。固形物はもとより、粒の細かいものや流動性のものでも安心して対応できるのが魅力。カップに比べコストが安いため、比較的安価な味噌に使われていることが多い。

味噌パッケージ

【おすすめの開封方法】
上下を切り取り、真ん中に切れ目を入れ、開いて容器に移し替えるだけ。味噌が残らずとれるため、無駄もなく便利。柔らかい味噌は冷凍庫で数時間冷やし少し固めるとやりやすい。

③ガゼット袋タイプ

「ガゼット」とは「マチ付き」の意で、ガゼット袋は押尾産業が産みの親。大容量もコンパクトに収めることができるのが特徴で、横ガゼットタイプと底ガゼットタイプがある。立てて置くことができるので、ディスプレイ性に優れている。

味噌パッケージ

【おすすめの開封方法】
袋ごとジッパー付き袋に入れてもいいが、汁もれが起こりやすい。移し替える場合は、上下を切り落とし、みそと袋の間に少し隙間を空けると、ストンと味噌が落ちる。ピロー袋同様、柔らかい味噌は冷凍庫で冷やし少し固めるといい。

味噌

味噌販売のストーリー

古くは「延喜式」(927年)に、日本初の味噌(未醤)専門店があったと記されているから驚きだ。当時の味噌は、庶民は口にできない貴重品だったが、その後、室町時代頃から、一般庶民にも食されるようになり、江戸時代には、生活必需品として人々の生活を支えた。この時代、「買い味噌」も増えたが、まだ自家醸造が主流。大正に入ると大工場が建設され、生産量が増加。味噌汁は「家庭の味」として定着した。当時は量り売りが中心だったが、戦後スーパーマーケットができたことで、小袋やカップ売りに変化し、流通革命が起きた。容器別に見ると、小袋とカップが断トツ多い。カップの中では500g以上1kg未満が圧倒的多く、500g未満の少量タイプもじわじわと人気が高まっている。また最近は、メディアで味噌が取り上げられることが多くなったこともあって、「プロに話を聞きたい」と、味噌専門店に足を運ぶ人も増えているという。


参考:『みそ文化誌』(発行/全国味噌工業協同組合連合会)、『みそ知り博士のQ&A50』(発行/みそ健康づくり委員会、監修/中央味噌研究所)、『食品包装の科学』(発行/日刊工業新聞社、編著/日本食品包装協会、監修/石谷孝佑)

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