埼玉県川口市は、江戸時代後期から醸造品の製造が盛んに行われており、中でも「みそ」は全国でも有数の産地であった。川口のみそは、北関東特有の長熟熟成の麦みそ。香り高く、コクのある深い味わいが特徴で、ほかでは味わえない個性の強いみそだ。
みそ醸造業が発展したのは、地区内で優良な原料麦がとれたことと、江戸という大消費地に隣接していたことによる。陸上交通が発達する以前は、最大の輸送力を持つ交通機関は舟であり、みそとともに、年貢米や特産品のクワイ、れんこんなどが次々と江戸に運ばれた。最盛時には10工場が操業していたが、昭和に入り、戦時体制が強化されると、原料大豆の不足によりみその価格が高騰。戦後、一時は盛り返したものの、各種産業の発展により昭和40年頃には、ほとんどみそ製造が行われなくなってしまった。
このみそを復活させようと、酒類・調味食品問屋の株式会社アライが音頭を取り、地元企業や施設、行政などが協力し合い、街ぐるみの一大プロジェクトをスタート。そうして誕生したのが、「川口御成道みそ」で日光御成街道からネーミングされた。現在「川口御成道みそ」は、川口市西新井宿にある社会福祉法人ごきげんらいぶの施設内にて、手づくりで製造。県産大豆と国産大麦を使用し、大豆の栄養成分とうまみを逃がさぬよう大豆を蒸して仕込み、1年かけて熟成させる。月に約500kgしかできない貴重なみそで、その味は各方面から高い評価を受け、「彩の国優良ブランド品」にも認証された。「川口御成道みそ」は、麦みそと米みその2種類。ラーメン店など飲食店で使われることが大半で、市場に出回る量は極めて少ない。みその味わいが濃いので、みそ汁以外にも、煮込み料理や炒め物などにもぴったりだ。お求めは、新井商店の店頭・ネット、そごう川口店等でどうぞ。