JR 秋葉原から徒歩10 分、鳥越神社の裏通りにある「おかず横丁」に店を構え、こだわりの味噌と漬物を全国各地から集めて販売している郡司味噌漬物店。満面の笑みで迎えてくれたのは、営業部部長の夏川雄介さん。メディアでも頻繁に取り上げられ、有名人もお忍びで来店するという同店の魅力に迫った!
(聞き手/藤本智子)
郡司味噌漬物店について教えてください。
1957 年創業のアットホームな老舗の味噌屋です。創業者の郡司春雄は終戦後、捕虜として4 年間のシベリア抑留時、戦友たちと常々「おふくろの味噌汁が飲みたい」と話していて、無事に帰国できたら戦友たちの命を支えた「味噌」を商おうと決めていたそうです。帰国後、妻の実家の味噌蔵から味噌を取り寄せ、小さな店舗を構えたのが郡司味噌漬物店の始まりです。今も健在で、みんなに「お父さん」と慕われています。開店当時はまだモノの少ない時代で、味噌は大変に喜ばれたとか。全国各地の味噌蔵と連携し、オリジナル味噌も数多く揃え、現在、味噌は約80 種、漬物は約100 種を取り扱っています。
このお仕事に就かれたのはなぜですか。
高校を卒業後、お笑い芸人の道を考えたものの、断念して大学へ進学。大学時代にやっていたアルバイトで百貨店の食品売り場を担当。取引先として親しくさせていただいたのが、現社長の郡司武司で、「うちで働いてみないか?」と誘われたのがきっかけです。それまで味噌とは疎遠でしたが、この店に来て、家族のようなあたたかい雰囲気に魅了され、入社を決意。23 歳のときでした。
普段はどのようなお仕事をされているのですか。
肩書きは営業部部長ですが、ブログ更新から商品管理、電球交換まで何でもやっています。イベント出店も多いのですが、それ以外はほぼお店に立っています。今はスーパーや量販店での販売が主流で、なかなか味噌のことを知っていただく機会がありません。お店には全国各地の味噌を集め、200g から量り売りしているので、普段は買わない味噌にチャレンジできるのが魅力。「みそソムリエ」として、味噌の魅力を直接お伝えしています。
おすすめの味噌、味噌の使い方を教えてください。
郡司味噌漬物店が扱っている味噌は、国産原料、天然醸造が基本。店の看板味噌は、なんといっても「玄米完熟味噌」です。ビタミンやミネラルが豊富なコシヒカリ玄米麹と厳選された国産大豆を使用、じっくりと熟成させ、贅沢に仕上げています。千葉の老舗の味噌蔵で、特別に醸造しているロングセラー商品。個人的におすすめの味噌は秋田味噌です。深みのある味わいとほのかな甘味が特長。味噌は味噌汁だけなんてもったいない! 調味料としても万能なので、もっと活用してほしいです。麻婆豆腐の隠し味にも最高!
夢は何ですか?
ワンクリックで何でも購入できる時代ですが、だからこそ対面販売にこだわり、お客様一人ひとりに誠意を込めた接客を心がけています。お客様からの質問に、アドバイスさせていただく一方で、「この味噌でこんな料理をつくったらおいしかった」など、お客様から学ばせていただくことも多いですね。そんな人とのつながりが元気の源。味噌汁離れが叫ばれる時代ですが、私はあまり実感はしていません。お父さん(創業者)の味噌に対する想いを伝えていくことが、私の使命だと思っています。小学校教論の免許を持っているので、いつか子どもたちに、味噌の魅力を伝えていく役割も担いたいと考えています。
【郡司味噌漬物店】
東京都台東区鳥越1-14-2
TEL/03-3851-1783
営業時間/平日9:00 ~ 19:00
定休日/日、祝、第2・第4月曜日
Gunji Miso Tsukemono Ten is a long-establishedshop in Tokyo that offers superb miso and pickles selected from all across Japan. Yusuke Natsukawa, the sales manager who is also a miso sommelier, has been spreading the appeal of miso.