ことわざや慣用句、川柳や小説などに「味噌」が数多く登場するのは、それだけ味噌が日常生活に密着し、人々にとって欠かせないものだったという証拠ですね。「味噌」にまつわることわざをご紹介します。
味噌のことわざ
●味噌豆は七里帰っても食え
→味噌を仕込む際に煮た大豆は、おいしくて栄養価があるので、七里も離れたところから帰ってでも食べる価値がある。
●味噌買う家に蔵は建たぬ
→昔は味噌は自家醸造が普通であっため、味噌を買って使うのは貧しい家か、家政になげやりな家に限られた。
●味噌に入れた塩はよそへ行かぬ
→一見無駄なことに見えても、結局は自分のためになる。
●味噌汁拵えて初産する
→用意万端に整える。
●味噌盗人は手をかげ
→どんなに巧妙に味噌を盗んでも、手についた味噌の香りは消えない。悪事はいずれは発覚するし、ちょっとしたことでバレる。
●味噌漉しで水をすくう
→どんなに苦労しても効果がなく、良い結果が得られないということ。
●五割の金を借りても味噌をつくれ
→金を借りても味噌づくりは怠るな。
●着物(かかあ)、質に入れても味噌を煮ろ
→高価な着物や大事な女房を質に入れても、味噌をつくりなさい。それくらい味噌は大切なもの。
●味噌桶が出ると雨が降る
→味噌桶はいつも暗い所に置いてあり、外へ出すことがないことから、めったに外出しない人がたまに出かけることをいう。
●味噌の味噌臭きは食われず
→学者の学者臭いのは真の学者にあらず。露骨に専門家ぶる人は真の専門家ではない。
●味噌汁と秋蚕の当たったことはない
→春に育てる蚕に比べ、秋蚕は育ちにくく成果が上がらない。味噌汁のような無難なものは、中毒しないことをかけて表現。
●女房と味噌は古いほどよい
→何でも古いほど味わいが出て良い。味噌も古くなると熟成して味がよくなり、妻も長年連れ添うと円満さが増す。
●味噌の三礎
味噌が体にイイ!を的確に表した、健康ことわざ
●味噌は医者要らず
●味噌汁は不老長寿の薬
●味噌汁は医者殺し
●味噌汁はたばこのず(毒、害)をおろす
●味噌汁は朝の毒消し
●味噌汁一杯三里の力
●味噌で飲む一杯、酒に毒はなし
●医者に金を払うよりも、味噌屋に払え
NEWことわざ?
時代も変わり味噌も進化を遂げているのに、新しいことわざが誕生しないのは、もったいない! ということで、1つ後世に残したいことわざをつくらせていただきました。
「味噌がよければ、すべてよし!」
某ことわざをもじった感じがアリアリです(笑)。が、手前味噌ながら、なかなかいいこと言ってませんか(笑)?
参考文献:「みそ文化誌」(発行/全国味噌工業協同組合連合会・一般社団法人中央味噌研究所、編集/みそ健康づくり委員会)、「みそを知る」(発行/みそ健康づくり委員会、監修/一般社団法人中央味噌研究所)、「くいもの 食の語源と博物誌」(著者/小林祥次郎、発行/勉誠出版)、「たべもの語源辞典」(著者/清水桂一、発行/東京堂出版)、「常用漢字コアイメージ辞典」(著者/加納喜光、発行/中央公論新社)、「広辞苑 第七版」(著者/新村出、発行/岩波書店)、「標準語引、分類方言辞典」(著者/東条操、発行/東京堂出版)