小泉麹屋・小泉聡さん「横浜からみそ文化を伝承」

横浜で麹屋を営む小泉麹屋の小泉聡さんは「こいちゃん」の名で親しまれ、年間約3000 個以上のみそ仕込みをサポートしている、みそ名人。先駆けてインターネット販売に取り組んだことでも知られている。パワフルで明るい小泉さんが「おうちでてまえ味噌」を通じて伝えたい思いとは?
(聞き手/藤本智子)

小泉聡 ●プロフィール
1968 年横浜市出身。東京農業大学第一高等学校、日本大学法学部政治経済学科卒。大手不動産会社に勤務後、1983年に閉鎖した「 小泉麹屋」を1998年に再開し麹職人の道へ。当時珍しかったECショップが話題に。マスコミ出演多数、「日本オンラインショッピング大賞奨励賞」等受賞。

麹職人の道を歩んだきっかけは?

父が営んでいた麹屋を継ぐことが幼い頃からの目標でしたが、高校入学直後に父が他界し「小泉麹屋」は閉めてしまいました。東京農業大学への進学も諦め、一度は「麹職人」になる夢を断念。大学卒業後、大手不動産会社で営業マンとして働いていましたが、30 歳で独立を考えていました。いざ何をしようか考えたとき、「麹」しかない!と直感。1998 年に「小泉麹屋」を再開し、当時はまだ珍しかったインターネットショップを、試行錯誤でオープンしたところ、驚くほどの反響がありました。

普段のお仕事は?

麹やみそを製造するほかに、学校やサークルなどで行っている出張みそ講習を年間257 回、計3000 個以上のみそづくりのお手伝いをしています。現在は「みそソムリエ」のスタッフが交代で担当。仕込んだ後も完成までしっかりフォロー。最近うれしかったのは、何年か前に小学校で教えた生徒が先生になり、教え子に「手づくりみそを教えてほしい」と依頼が来たことです。味覚がつくられる子どもの頃から本物の味と触れ合う機会をつくることが大切で、それには手づくりみそは最適だと考えています。

どんな麹をつくられていますか?

砕けた米は使わず丸い粒のしっかりした国産米のみを使用。完全手作業で3 日間かけて製麹(せいきく)します。麹の出来はみその味に大きく関係します。米麹の出来上がりは菌糸がふわふわで、ここでしか出せない「まろやかな風味」が最大のポイント。珍しい「小麦麹」も生産しています。父が残してくれた麹室は100 年近く使っているもので、つくる量に限界はありますが、愛着があります。麹蓋(こうじぶた)は私の手づくり、水分をうまく調節してくれる木は優秀です。

小泉麹屋イチオシみその特徴は?

小泉麹屋を代表するみそは、厳選した北海道産白目大豆を100% 使用した「横浜贅沢三昧」です。百年以上の歴史の中で編み出された絶妙な割合で大豆、米麹、小麦麹を調合。小麦麹を混ぜるメーカーさんは少ないと思いますが、これこそが先代より受け継いでいる味。やさしい甘さと芳醇な香り、うまみ…、自信をもっておすすめしています。

横浜贅沢三昧

ご自身は、みそをどんな風に楽しんでいますか?

定番ですが、なんといってもみそ汁でしょう。毎日みそ汁は欠かしませんが、この時期はトマトやなすなどの夏野菜を使ったみそ汁がお気に入り。輪切りにしたねぎをみそと合わせてひたすら混ぜてつくる「ねぎみそ」が大好物です。ごはんのお供やおつまみに最高です。

夢を教えてください。

子どもの頃の夢は、「夏はプロ野球選手、冬は麹屋さん」でした。10 年前から草野球を始め、それが仕事の原動力にもなっています。ある意味、思い描いた夢に近い生活をしていますね。ありがたいことに、今はとても忙しく、生産が間に合っていない状況です。目標は生産量を増やすこと、そして、飲食店や販売店、セミナールームなどを併設した、みその魅力を発信する場をつくること。今秋、菊名駅前に直営店をオープン予定です。手づくりみそやイートインなど、みそと触れ合う機会を増やし、みそ文化を次世代へ伝えていきたいです。

小泉麹屋
横浜市港北区菊名5-24-25
TEL/045-432-7488

Satoru Koizumi, who runs Koizumi Koujiya, a handmade koji mold shop in Yokohama, has been active in spreading the appeal of miso through teaching miso-making to various groups of people.

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