意外と古かった!缶詰の歴史
缶詰は今や肉や魚、果物、野菜、ジュースなど、さまざまな食品に使用され、その数は約1200種類もあるとされている。普段の食はもちろん、長期保存ができるため、贈答品や災害時の非常食としても大活躍。缶切りが不要なイージーオープン蓋や、再シールが可能なリシールなどもあり、便利な缶詰が次々開発されている。食品用の包装資材の中で、最も歴史があるのが金属缶、つまり缶詰だ。外界とのバリアー性にすぐれ、空気や光線などを完全に遮断し、内容物を保護する。
また、熱伝導性が良いため、加熱殺菌が容易なことも大きな特徴だ。さらに加工性がよく、リサイクル性が高いこともあり、資源的にも安定している。クッキーの容器に初めて金属缶を使用したのは、イギリスのビクトリア女王といわれている。
食品の保存にブリキ缶を用いることを考えたのは、イギリス人のピーター・デュランドで、1810年に特許を得て1812年に世界初の缶詰工場をつくった。北極探検隊の食料としても利用され、このときに持っていった缶詰が数十年後に発見されたとき、中身には全く異常がなかったとされる。
日本で初めて缶詰が製造されたのは明治時代(1871年)、その後本格的に商業生産が始まったのは1877年からとされている。明治政府によって、北海道に日本初の缶詰工場ができ、この年の10月10日「サケの缶詰が初めて製造された日」を記念し、10月10日は「缶詰の日」に制定されている。
空前のサバブーム
昨年、日本の世相を反映した食を選ぶ「今年の一皿」(ぐるなび総研)で「サバ」が選ばれたことは記憶に新しい。最近では、素材やデザインにこだわった多彩なサバ缶が登場し、売り場を賑わせている。健康効果に加え、災害が多発し缶詰の重要性が注目されたことも大きい。
日本缶詰びん詰レトルト食品協会の発表によると、2018年はサバやイワシなどの水産缶は、前年比5.9%増の10.4万トンで、中でも「サバ」は、26.6%増の4.9万トンと大幅に増加するなど、人気の高さがうかがえる。サバの水煮を使ったサラダやパスタ、グラタンなど、多彩な料理に使われるようになり、サバ缶を使ったレシピ本なども多く出版された。
加藤兵太郎商店・七代目加藤篤さんが伝授
汁ごとで出汁要らず!
アウトドアにも最適のさば缶みそ汁
神奈川県小田原市にある味噌メーカー・加藤兵太郎商店七代目の加藤篤です(写真右)。アウトドアが趣味で、休日を利用しては、登山によく出かけています。暖かい季節でも山頂は真冬のような寒さのことも多く、体を温めてくれる味噌汁は最高です。中でもイチオシは、簡単にできて、食べ応えも抜群のサバ缶味噌汁です。
山での調理のポイントは、サバ缶の「汁」を上手に活用することです。水煮の汁が魚から出た出汁になっているので、まるで寿司屋で食べるあら汁みたいな風味に! 別途出汁を用意する必要がないため、極力荷物を減らしたい登山やアウトドアにはもってこいです。山では料理がすぐに冷めてしまうので、少量ずつ取り分けるのが鉄則です。
加藤兵太郎商店では、約170年前の創業以来、厳選した国産原料と箱根山系の地下水で仕込み、昔ながらの木桶で熟成させています。長年使用した木桶には独自の菌がすみつき、特有の味とコクを醸し出します。さっぱり風味の「いいちみそ 白みそ」が一番人気ですが、サバ缶味噌汁には、深いコクのある「赤みそ」がおすすめです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
https://miso-press.jp/hito/manufacturer/736/