鹿児島県には、黒豚、黒牛、黒さつま鶏、黒酢、黒糖…と黒にちなんだ食材が多いが、このたび、「さつま黒味噌」が発売され話題となっている。
考案者は、鹿児島大学共同獣医学部分子病態学分野の叶内宏明准教授で、吉村醸造株式会社の協力を得て商品化が実現。その製造方法は、特許出願中だ。黒の食材を活用し健康になる食事を提案するプロジェクト「黒膳研究会」の活動の一環として、黒い味噌をつくろうと、約3年前にプロジェクトが発足した。
栄養学が専門の叶内准教授は、黒酢などの機能性食品の研究をしていたことから、黒い食材に関して造詣が深かった。東海豆味噌を主とする一般的な黒っぽい味噌は「赤味噌」の部類に入るが、その色の濃さは、「長期熟成」によって生み出されるもの。
対して「さつま黒味噌」の熟成期間は3か月程度。鹿児島で一般的に食べられている甘口の麦味噌の発酵期間とほぼ変わらない。黒さの正体は、鹿児島県さつま町で生産された黒米と黒大豆だ。化学調味料、保存料、着色料は利用せず、素材本来の風味が活きている。塩分は約9%でまろやかな低塩タイプ。
味認識装置で一般的な味噌と旨味を比較したところ、「さつま黒味噌は旨味とコクが強い」という結果に。味噌汁のほか、マヨネーズやバターと混ぜてソースにしたり、みりんと砂糖と混ぜてタレにしたりと、色々な料理に活用できそうだ。
「最大の特徴は、黒米や黒大豆に含まれるポリフェノールの一種であるアントシアニンが豊富なこと。アントシアニンは強力な抗酸化作用を持ち、健康維持や美容に効果的と近年注目されている機能性物質です。また、玄米を利用しているので白米では取り除かれるヌカ由来成分を含みます。ヌカ由来成分としてビタミンB1、ミネラルなどが豊富なのも見逃せません。そしてなんといっても、これまでにない風味とおいしさが気に入っています。今後さらに研究を続けていきたい」と叶内氏。
2018年10月より、鹿児島大学インフォメーションセンター、漢方サント薬局(横浜市青葉区あざみ野2丁目9-2)、吉村醸造本社工場向かいサクラカネヨ直売店(鹿児島県いちき串木野市大里3868)で販売をスタートする。順次、販路を拡大していく予定。