糀和田屋・三瓶正人さん「代々受け継ぐ手づくり糀が、おいしさを引き出す秘訣」

糀和田屋 外観

福島県の中央部、本宮市にある糀和田屋は、約250年の伝統を受け継ぐ老舗の蔵元で、手づくり糀をベースに味噌や甘酒、醤油など、多彩な商品を展開。昔ながらのその味わいは、福島県を代表する逸品として、福島県ブランド認証産品にも選定されています。十代目として会社を切り盛りする代表取締役、三瓶正人さんにお話を伺いました。(聞き手 / 藤本智子)

1967年、福島県生まれ。大学卒業後、経営コンサルタント会社に勤務後、25歳の時に糀和田屋に入社。現在、糀和田屋代表取締役、みそ製造技能士(1級取得)。味噌仕込み教室やワークショップ等、味噌の普及活動も精力的に行っている。

糀和田屋の歴史を教えてください。

糀和田屋の祖先は、京都から福島に渡り、地元農家の穀物を貯蔵する蔵を所有し、生計を立てていました。当時は「蔵屋」と呼ばれ、重宝されていたといいます。江戸時代後期に差しかかる頃、築き上げてきた生産者との深いつながりを元手に地元で縁の深かった土地の名「和田」を屋号にし、地元の農産物を発酵食品へ加工する「糀和田屋」を創業しました。

普段はどんなお仕事をしていますか。

入社当時は製造を中心に行っていましたが、現在は、会社全体の管理ほか、新商品の企画、営業、取材対応、物産展への出店など、仕事は多岐にわたります。また、味噌を身近に感じてもらえるよう、味噌仕込み教室など、普及活動にも力を入れています。「みそまるマスター」になったので、今後は「みそまる教室」も、積極的に行っていきたいと考えています。

どんな味噌をつくっていますか。

上質な国産原料を使用した、昔ながらの無添加の味噌が定番です。塩分はしっかりきいていながらも、糀のやさしい甘味と大豆の旨味が調和した奥深い味わいが特徴です。天然醸造のため、仕込む時期により異なりますが、半年~1年程度かけて、木桶で発酵・熟成させています。近年は、甘口が好まれる傾向があるため、伝統的な味噌に加え、糀の量を増やして甘口に仕上げた味噌も取り揃えるなど、時代のニーズに合わせた商品づくりを行っています。

こだわりのポイントを教えてください。

厳選した原料を使用していること。そして、なんといっても、伝統的な製法でつくる「手づくり糀」がこだわりです。味噌と甘酒に使う糀は、機械に頼らず、職人技を駆使し、手作業でつくっています。手間はかかるし、その時々の気候や原料の状態などでバラツキが出てしまうなど、難しさもありますが、機械には出せない芳醇な味わいに仕上がります。

おすすめの味噌活を教えてください。

たまねぎやじゃがいもの味噌汁がわが家の定番ですが、味噌汁は具材を選びませんので、常識にとらわれずいろいろな食材で楽しんでください。マイルドなテイストなので、シンプルにそのままごはんや野菜につけて食べるのもおすすめです。秘伝のレシピを紹介すると、味噌味でつくるイカの塩辛は最高です。お酒のおつまみにもぴったりです。

今後の展開、伝えたいことは?

最近は、発酵食品が見直されていることもあり、糀や味噌に関心をもつ若い人が増えていて、とてもうれしく思います。味噌は言わずと知れたスーパーフードであり、汎用性の高さもピカイチです。今後は味噌汁以外に調味料としてももっと活用いただけるよう、調味味噌の開発に力を入れていきたいと思っています。時代の変化に伴い、求められる商品も変わっていきますが、これからも基本に忠実に、手づくり糀ならではの味わいを大切にしていきたいと考えています。

「糀和田屋の味噌  大吟仕込」
国産原料を使用。糀を大豆の2倍使用し、糀の甘みを生かしたこだわりの味噌。
「糀和田屋の味噌  本仕込み」
国産原料を使用。じっくりと熟成させた、大豆の旨味が引き立つ深みのある味わい。
「あまざけ」(プレーン、しょうが、柚子、かぼちゃ、いちご、ブルーべリー、レモン、りんご、もも、抹茶、さくら、なつはぜ)

「糀ヨーグルトシュガー」
粉末糀、てんさい糖のオリゴ糖、りんごのペクチン、ヨーグルトの乳酸菌が同時に摂取できます。

糀和田屋
福島県本宮市本宮字上町22
TEL/0243-34-2140

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