みそ汁を温め直すと、つくり立てよりも塩辛く感じた経験はないだろうか? 『おいしさをつくる「熱」の科学』(発行/柴田書店、著者/佐藤秀美)によると、これは、みそ汁の水分が蒸発して塩分が凝縮されるからではないという。
みそ汁の中には、タンパク質などが「コロイド粒子(微小な粒子)」として分散するほか、塩やうま味成分も溶け込んでいる。みそ汁を再加熱すると、タンパク質が熱変性を起こし、寄り集まり大きくなって沈むのだが、このときに、うま味成分を吸着して一緒に沈む。結果、みそ汁の中に、塩分だけが取り残されてしまう状況となる。うま味成分は、塩味をやわらげる効果があるので、塩味だけだと塩辛く感じるというロジックだ。
「みそ汁は、煮えばなが大事」というが、みその香り成分であるアルコールなどが加熱によって飛んでしまうため、煮立たせてはいけない、という教え。
さらに、温め直すと塩辛くなるとなれば、やはりみそ汁は出来立てをいただくのがベストといえる。もし温め直すときは、少し水を加え、生みそや鰹節の粉などを加えると香りが蘇る。が、中には、グラグラ煮込んだ濃~いみそ汁が好き!という人もいる。みそ汁の楽しみ方は人それぞれで自由。そこが、ミソだ。