腸管出血性大腸菌O157は、味噌の中では増殖できない…!?

急な腹痛や下痢、おう吐などの症状が急に出る「食中毒」。重症になることも少なくなく、注意が必要です。食中毒を引き起こす主な原因は、目に見えない「細菌」と「ウイルス」。そのほか、毒きのこやフグなどの「自然毒」、アニサキスなどの「寄生虫」などもあります。

腸管出血性大腸菌(O157、O111など)やカンピロバクター、サルモネラ属菌などの細菌が原因となる食中毒は、気温が高く、湿度も高い夏場に多く発生することが多く、一方、「ノロウイルス」などウイルスが原因となる食中毒は、冬場に多く発生しています。

身近に危険が潜む食中毒ですが、実はこれまで味噌で食中毒を起こしたという例は一度も報告されていません。一般財団法人日本食品分析センターの興味深いデータがあります(1997年)。

菌の種類や保存温度条件によっても生存時間は異なりますが、味噌の中では腸管出血性大腸菌O157は増殖できず、30℃ではすべて死滅、20℃でも大幅に減少するという結果が出ています。

万が一、味噌に腸管出血性大腸菌O157が混入したとしても、発酵熟成の過程や常温での流通過程において死滅。また、開封後に汚染されたとしても、味噌汁では調理過程における加熱で死滅するため、安全といえるのだそうです。

味噌はもともと保存食として活用されてきた歴史があり、「味噌漬け」がいい例です。味噌に漬けると保存性が高まるほか、肉や魚、野菜、豆腐、チーズ…何でもおいしくなるから不思議! まさに、味噌漬けイリュージョンです。

ただし、上記はあくまでいち研究の結果であり、食中毒はさまざまなケースがあるため、「味噌だから安全」という考え方は危険です。手洗い、消毒、加熱処理、清掃などを徹底して、家庭でも食中毒菌を「付けない、増やさない、やっつける」を徹底しましょう!

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