「茶節」は、鹿児島(指宿市一帯を中心とした薩摩半島南部)の郷土料理で、二日酔いや疲労回復に効果があるとして、昔から地元で愛されてきた。器にみそとたっぷりのかつお節を入れ、お茶を注ぎかき混ぜるだけで、滋味深いみそスープが完成。 お好みでねぎ、しょうが、卵などをトッピングして、My茶節を楽しもう。
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茶節に欠かせないかつお節
鹿児島枕崎のかつお節メーカー「マルモ」へ
かつお節は、繊細で深みのある“うま味”で日本の食文化を支えてきた誇るべき食品。かつお節生産量日本一の鹿児島で、1928年の創業以来、熟練の職人技で風味豊かな高品質のかつお節をつくり続ける「マルモ」を訪問した。
二代目として生まれ、小学5年生のときには魚をさばいていたという前会長の大茂健二郎さんは、この道なんと70年以上。大学を中退し、東京のかつお節問屋で修業後、船に乗った。まぐろ、かつお、さんま、さば漁…。危険と隣り合わせの世界に身を投じ、朝から晩まで魚を切って内臓を取る…そんな生活を経験し、今がある。
社長になったのは、若干24歳のとき。以来、伝承製法を守りながらもさまざまな改良・工夫を重ね、かつお節づくりにこだわってきた。生産量の増加とともに一部の分業を余儀なくされたが、産地ならではの一貫生産できる強みを生かし、徹底した教育、品質管理のもと、丁寧に、誠実に、かつお節をつくり続けてきた。数年前に会長職を退いた今も、後継者の育成や枕崎かつお節の普及に力を注いでいる。
一般に流通している「花かつお」は、カビ付けする前の「荒節」を削ったもの。対して、プロの料理人がこぞって使う「本枯節」とは、カビ付けと天日干しを繰り返し、丁寧にかつおの水分や油分を取り除いていったもの。
完成までに半年以上の月日をかけるというマルモの「本枯節」製造工程を見学した。一本一本のカツオに愛情を注ぎ、一つひとつの工程に長い時間と手間をかけ、丁寧にかつお節がつくられていることを知ると、先人の知恵と、つくり手の思いに敬意と感謝の気持ちが生まれる。
【取材を終えて】
みその普及活動をはじめて間もないころ、マルモさんの工場見学へ行ったときに、「茶節」を教えてもらった。はじめて聞いたときは、「みそとお茶⁉」どんな味なのかまったく想像がつかなかった。が、一口食べて納得。麦みそのほのかな甘さと香ばしさ、たっぷりのかつお節から出るうま味に加え、お茶の渋みがいいアクセントになり、体にスーっと染みわたった。
さらに茶節は、二日酔いのときや疲れたときに飲む”栄養ドリンク的な存在”と聞いて、なお驚いた。なんとも頼もしいみそ汁だ。みそもかつお節も、時間と手間暇、愛情をかけて丁寧につくられる。お茶を注ぐだけで、一瞬にして食材の恵みをダイレクトに味わえる。なんて私たちは幸せなんでしょう!
(MISODO)