【ご当地味噌】素材の味を生かすシンプルな味わい!北海道味噌

北海道味噌は、麹歩合はやや高めで、マイルドですっきりしたやさしい風味が特徴の米味噌(辛口)です。古くから佐渡や津軽との交流が盛んだったため、佐渡味噌や津軽味噌に近い赤色系の味噌が代表的ですが、淡色系の味噌も多く生産されています。素材の味を生かすシンプルな味わいで、アレンジの幅が広く、一言でたとえるなら「万人向きの味」です。

北海道味噌の誕生秘話

北海道で味噌製造の動きが出てくるのは、幕末になってからのこと。江差(北海道)の豪商・鈴鹿甚右衛門が味噌6万樽を醸造し、蝦夷地ほか京・大阪・江戸などにも移出する計画を立てたようですが、残念ながら実施には至らなかったようです。

本格的に味噌製造が始まったのは、明治時代に入ってからで、それまでは、本州から取り寄せた味噌でまかなわれていました。北海道開拓に活躍した「屯田兵」は、生活に欠かせない米と味噌を「米噌(べいそ)」と呼び、重労働に耐える体づくりに欠かせないものとして、非常に大切に取り扱ったそうです。

道内で良質な大豆が生産されるにつれ、味噌製造も次第に広がりを見せていきましたが、開拓に伴い人口も増加、道産だけでは間に合わず、引き続き本州から大量に味噌が移入されていました。

改良に改良を重ねて誕生した“北海道らしい”味わい

北海道と本州という気候の違いから、同じつくり方では良い味噌にならず、改良に改良を重ね、独自の製法を確立していきます。冷涼な地であるため、じっくりと長期熟成させる必要があること。また、水などの自然条件も大きく関わることなどから、次第に北海道らしい風味や色合いを生み出していったのです。

ご当地味噌グルメ

ちゃんちゃん焼き

「ちゃんちゃん焼き」とは、鮭や野菜などを鉄板で焼き、味噌で味付けしたもので、甘口、ピリ辛、バター入りなど、各家庭で微妙に味わいが異なります。

ネーミングの由来は、「ちゃっちゃとつくれるから」「ちゃん(お父さん)がつくるから」など諸説あり。本来は大きな鉄板で豪快に焼きますが、自宅では、ホットプレートやフライパンでもOK。鮭と味噌は相性抜群です!

石狩鍋

「石狩鍋」とは、ぶつ切りにした鮭の身とあら、キャベツやタマネギなど野菜をたっぷり入れ、味噌味で仕立てた鍋料理のこと。粉山椒をかけて味わうのが石狩流です。

漁師たちが大漁を祝い、ぶつ切りにした鮭の身とあらをそのまま味噌汁が入った鍋に入れ、ご褒美として食べたのがはじまりとされています。その後、鮭漁見たさに集まった観光客に「石狩鍋」をふるまったところ、おいしいと評判になり、全国的に知られるようになりました。

【参考】
『みそ文化誌』(発行/全国味噌工業協同組合連合会・中央味噌研究所、編集/みそ健康づくり委員会)
『味噌大全』(発行/東京堂出版、監修/渡邊敦光)

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