麦味噌は、主に九州地方や中国・四国・関東地方の一部で生産されていて、中でも九州産のものを「九州麦味噌」と言います。麦味噌は、農家の自家用として食されていたことから、別名「田舎味噌」とも呼ばれています。
九州麦味噌は、大豆よりも麦の割合が多く、淡色で甘口タイプが主流ですが、近年は、米と麦の合わせ味噌も多くつくられています。また、北関東の麦味噌は、辛口のものが多いです。
味噌(粒味噌の場合)は、大麦や裸麦の「黒条線」が残って見えるので、見た目でもわかります。
バリエーション豊かな九州麦味噌
一口に「九州麦味噌」と言っても、エリアによって味わいはさまざまで、バラエティに富んでいます。特に南九州は、味噌も醤油もより甘味が強いのが特徴。
諸説ありますが、港町の多い南九州では、漁師が塩水で洗った刺身を食べる際、甘みのある醤油を好んだという説。辛い焼酎に合わせるのに、甘いつまみが好まれた説などがあるそうです。
麦麹由来の甘味と香りが特徴
麦味噌自体、全国シェアの約5%と希少なため馴染みのないエリアも多いですが、一度食べると、独特の麦麹の甘味や香りに、やみつきになる人も多いようです。
九州麦味噌は、米味噌とは全く違った味わいで、一つ常備しておくと、お料理のバリエーションが広がります。マイルドなテイストなので、お子さんにもオススメです!
ご当地味噌グルメ「冷や汁」
「冷や汁」は、焼いたアジなどを味噌と合わせて焼いたものをだし汁でのばし、麦飯にかけて食べるもの。レシピは家庭によりさまざまですが、一言で言えば、「冷たい味噌汁ごはん」。昔から全国各地で食べられてきたものですが、中でも宮崎県の冷や汁は有名です。
『みそ文化誌』(発行/全国味噌工業協同組合連合会・中央味噌研究所、編集/みそ健康づくり委員会)
『味噌大全』(発行/東京堂出版、監修/渡邊敦光)
【取材協力】長友味噌醤油醸造元